【リハに役立つ!】アフォーダンスと行為選択力とは?

【医療者向け】環境

アフォーダンスと行為選択力

アフォーダンスとは動詞のaffordを名詞化した造語であり、身体運動を含めた人間の様々な行為について、その決定に関わる環境の性質を言います。

アフォーダンスは人を含めた生き物の特性を考慮した時、その時の環境がどのような行為を実現させる条件を兼ね備えているのかについて、環境を主役として表現する為の言葉です。

そしてアフォーダンスを知覚するということは、【行為者の身体】・【行為特性】と【環境の属性との適合性】を知覚するということです。

つまり【行為を行う人の身体・行動内容ー環境】との相性を知覚するということです。

両者の適合性・相性を知覚できるということは、その状況で何ができて、何ができないのかを見極めることが出来るということです。

また、アフォーダンスを知覚するということは行為を行う前の話だけではありません。

行為の選択・調整には、行為を選択する前の段階(意識的に判断するレベル)と行為を開始中の段階(無意識に実行されるレベル)があります。

アフォーダンスを知覚するということは、【行為を行う前の判断】・【行為中の調整】の両者を含むということであり、適切な判断・調整が出来ないと自信を危険にさらしてしまいます。

 

私たちの行為選択力

私たち若年者を対象とした場合、行為選択力はある程度正確と言えます。

出来ることはできる、出来ないことはできないと正確に判断することが出来るということです。

例えば歩行中に狭い隙間を通る時に、その隙間が肩幅より少し広い隙間(約1.1倍)を境界として、通ることが出来るのかどうかをある程度判断することが出来ます。

また、溝などの床の隙間を跨ぐことが出来るのかどうかの判断は、【目線の高さ×約0.6倍】を境界として判断していると言われています。

しかし、実際には【目線の高さ×約0.7倍】まで跨ぐことが出来ます。

このように私たちはある程度正確に行為選択することが可能であり、その選択も少しだけ保守的な判断になる傾向があります。

それは、溝を跨ぐ際に予期せぬふらつきなどが生じると歩幅が狭くなり跨ぐことが出来なくなります。

万が一の状況に備えて、能力より少しだけ保守的に判断しようとするということです。

 

高齢者に転倒が多い理由:行為選択力の低下?

行為選択力というものは一部の高齢者において、適切な行為を選択する能力が低下し、自身の行為能力を過大評価する傾向があると言われています。

手すりまでの上肢リーチ距離がどの程度かの判断は、若年者はリーチ可能な距離よりやや保守的に判断する事に対して、高齢者は実際にリーチ可能な距離よりも遠くまで届くと判断してしまうということです。

病院や施設などにおいてリハビリや日常生活の介護を行っていると、高齢者が遠くから手すりを掴もうとされたり、椅子まで距離があるのに座ろうとされる光景は決して珍しくないと思われます。

行為選択を誤ってしまう高齢者は、特に日常で外出頻度が少ない高齢者ほど、その傾向が強くなると言われています。

日常の外出頻度が少ないということは、自分の能力の限界を知る機会が少なくなるということなので、行為選択が適切に行うことが難しくなることに繋がっているのかもしれません。

 

行為選択力を磨くためには?

行為選択力を磨くためには、実際に磨きたい場面を何度も経験させる、つまち直接的な経験が有用かもしれないと言われています。

つまり、適切に跨ぐことが出来る距離を把握できるようになるためには、能力にあった跨ぐ動作を行ったり、手すりまでのリーチ距離を適切に把握してもらいたい場合は、実際に手すりまでリーチする練習を行う方が良いのではないかということです。

しかし、直接経験させることで磨く行為選択力は、今まで行ってきた【行為の調整】であり、今まで行ったことのない新しい行為は直接経験で即時的に反映させることは大変難しいと言えます。

例えば下肢骨折により松葉杖を初めて使うことになった人にとっては、狭い道を通る際にどの程度の幅が必要なのかわかりません。

行為境界に近い隙間幅で直接経験しても即時的な行為選択力は難しいので、練習を繰り返す必要があります。

行為によっては直接練習を行うことが難しいものもあります。そのため、リハビリ時には直接は出来なくても似たいような環境を用意して練習するなどの間接的な練習が必要な時もあります。

行為選択力を磨くために大切なことは、【自身の行為特性ー環境特性】が適合するのかどうかを知る経験を提供することです。

このことを踏まえて療法士はリハビリを提供していく必要があります。

ここまで読んで頂きありがとうございました。