【リハに役立つ】姿勢制御とデュアルタスク条件について

姿勢は完全に自動で制御されているわけではなく、注意を姿勢制御とは異なる他に向けることで少なからず姿勢動揺が生じます。

立位姿勢の制御をどの程度の注意が必要なのかを知る方法として、デュアルタスク条件下で姿勢制御能力を評価する方法があります。

デュアルタスク条件を利用した研究では、注意の資源を一定の有限性を持つと仮定したうえで、2つの課題を最大限こなすために、注意をどの程度分配するのか配分するのが問題となります。

デュアルタスク条件下で姿勢制御を行ってもらうことで、どの程度姿勢制御に注意が必要なのか評価することが出来ると言われています。

デュアルタスク条件下の姿勢制御研究

【器械体操選手】と【その他の運動選手】の2つを対象とし、デュアルタスク下の姿勢制御課題を行いました。

その結果、姿勢制御のみ課題では姿勢動揺量に大きな違いはありませんでしたが、デュアルタスク条件では姿勢制御と併用した課題の成績で違いがみられ、器械体操選手で成績が良かったとされています。

これは単独の姿勢制御課題では姿勢制御に大きく注意を割くことが出来るため姿勢制御のみの課題では大きな違いはありませんでしたが、デュアルタスク条件では姿勢制御能力が高い器械体操選手はデュアルタスクの別課題に十分に注意を割くことが出来たため、成績が良かったと思われます。

高齢者のデュアルタスク条件下の姿勢制御

器械体操選手のような姿勢制御能力が高い人は少ない注意の割合で姿勢制御を行うことが出来ます。

しかし、高齢者の場合は姿勢制御能力そのもののが低下していたり、注意の容量も少なくなっていることが

予想されます。

このため、高齢者において姿勢制御能力が低下し姿勢制御に大きく注意を向けていると他の作業に注意を向けることが難しくなります。

普段の生活では姿勢制御に注意を向けることは少なく、別の目的や思考を持って歩いたりしているわけであり、高齢者ではいかに姿勢制御に向ける注意量が少ない状態でバランスを保持出来るのかどうかが大切になります。

また、デュアルタスク下で姿勢制御を行う際に視覚・体性感覚の有無を見た研究では、体性感覚の有無ではデュアルタスク課題で大きな違いはありませんでしたが、視覚の有無では大きく成績に違いがでたと報告されています。

そのため、高齢者では視覚情報が利用できない条件で姿勢制御に多くの注意量が必要であるということです。

杖をもつことは転倒危険回避に繋がるのか?

杖を突くことで支持基底面が広くなり姿勢制御が行いやすくなります。

支持基底面を広げる他にライトタッチ効果により体性感覚情報の統合を行いやすくなることからも姿勢制御が行いやすくなります。

以上のことから杖を使用することは姿勢制御にプラス効果を与えて、転倒危険性を下げることが出来るかもしれません。

しかし、杖を使用することは上記のメリットだけでなくデメリットもあります。

杖を持つということは不意にバランスを崩した際に、とっさに手すりを持つという対処を阻害するかもしれません。

ある実験では高齢者だけでなく若年者でも【杖を持つことで、手すりをもって転倒を回避する行為が抑制】されるようであり、これは杖を活用できない柄の部分を持っていた場合も同様であったとされています。

杖を持つということはとっさにバランスを崩した際に、【1.杖を持つという行為】と【2.その手でとっさに別の行為をする】ことは、デュアルタスク行為となってしまい、場合によっては望ましくない結果に繋がるかもしれません。

姿勢制御を行うために杖を使用するということは必ずしも良い結果をもたらすとは限らないため、一度杖を使用してもらうということは一旦考えてみてもいいと思われます。