【リハに役立つ!!】炎症の病態生理・基礎まとめ

【医療者向け】基礎

炎症の基礎

炎症を引き起こす原因は大きく2つに分かれます。

生体の外から有害な刺激(熱・機械的刺激・紫外線・強酸・強アルカリ・化学的因子・細菌・ウイルスなど)によって生じる外因】・【生体内の機能異常・障害(アレルギーやじ自己免疫異常・代謝異常による炎症物質の産生など)などによる内因】です。

炎症に関わる化学伝達物質と細胞

炎症に関与する化学伝達物質は炎症メディエーターと呼ばれています。

炎症メディエーターは元々体内に存在するものや新しく産出されるもの、数種類の物質の化学反応の結果として産出されるものがあります。

化学伝達物質には血管系の変化に作用するものと細胞の活性化に働くものがあり、化学伝達物質そのものが痛みを引き起こしたり、増強に作用するものもあります。

化学伝達物質 貯蔵・産出 起源となる細胞・組織 作用 徴候
ブラジキニン 化学反応 血中凝固因子 ポリモーダル受容器が興奮
血管拡張
血管透過性亢進
発赤
熱感
腫脹
発痛
ヒスタミン 貯蔵 肥満細胞
好塩基球
血管拡張
血管透過性亢進
発赤
熱感
腫脹
発痛
プロスタグランジン 化学反応 すべての白血球
血小板
血管内皮細胞
ポリモーダル受容器の疼痛閾値低下
血管拡張
血管透過性亢進
発赤
熱感
腫脹
疼痛増強
セロトニン 貯蔵 血小板 血管収縮
血管透過性亢進
止血作用
腫脹
発痛
炎症性サイトカイン 産出 リンパ球
マクロファージ
血管内皮細胞
炎症細胞の活性化・集積・増殖
炎症細胞同士の相互作用
他臓器への作用
血管透過性亢進
炎症の進行
全身への影響
補体 化学反応 血漿タンパク質 炎症細胞の活性化・集積
血管拡張
血管透過性亢進
炎症の増強

一方、炎症に関与する細胞には血液細胞と組織間葉系細胞があり、血液細胞の主役は白血球であり、その他に様々な細胞があります。

炎症細胞 直径(um) 作用と特徴
好中球 12~15 炎症が生じている部位に遊走した白血球の中で、最初に働きだす細胞で細菌や壊死した細胞の残骸を貪食します。
好酸球 13~17 主に気管支喘息や鼻炎などのⅠ型アレルギーの際に増加し、アレルギー反応を制御しています。ヒスタミナゼやペルオキシターゼなどを含む顆粒を有しています。
リンパ球 6~15 Tリンパ球とBリンパ球に大別され、いずれも炎症時の免疫反応において重要な役割を演じています。Tリンパ球は直接細胞を攻撃して免疫する細胞性免疫の、Bリンパ球は抗体を介して免疫する体液性免疫の主役です。
好塩基球肥満細胞 10~15 好塩基球はヒスタミンやヘパリン・ヒアルロン酸などを含む顆粒をもち、アレルギー反応の際にこれらを分泌します。組織内では肥満細胞に分化して存在しており、炎症時にはブラジキニンによる刺激でヒスタミンを分泌します。
単球マクロファージ 13~22

20~50

強い貪食・消化作用をもち、傷害組織の掃除役にあたることから貪食細胞あるいは大食細胞とも呼ばれます。血管内では単球として存在し、組織内でマクロファージに分化します。

また、組織間葉系細胞とは組織中に存在する中胚葉由来の細胞であり、骨細胞や心筋細胞・血管内皮細胞・線維芽細胞・脂肪細胞など様々であり、特に血管内皮細胞・線維芽細胞・脂肪組織は炎症に関与しています。

細胞傷害の概要

細胞が損傷を受けると最終的に壊死と呼ばれる細胞死に至ります。

細胞の壊死は細胞膜の損傷によって生じ、細胞膜が損傷を受けると細胞膜に存在するナトリウムポンプの活性化が低下し、細胞内にNa⁺が貯蔵されます。

同時にK⁺は細胞外へ拡散されることで細胞内外で浸透圧に差が生じ、細胞内に水分が流入するようになります。

さらに細胞内のCa²⁺濃度の上昇を引き起こし、細胞内のタンパク質分解酵素が活性化するため、細胞内を構成している種々のタンパク質が分解されていきます。

【細胞膜の損傷】
➡細胞内に水分が流入
➡タンパク質分解が促進

以上の変化は組織損傷後の4~12時間でみられ、1~2日が経過すると壊死した細胞は白血球によって貪食されていきます。

壊死した細胞が崩壊する際に細胞内に存在していた種々の化学伝達物質が流失し、周囲の多くの細胞に炎症を引き起こします。

最後には細胞の原型を崩していき消失します。この壊死の終焉はだいたい細胞損傷後の3~4日でみられます。

炎症に伴う組織学的変化

組織が損傷すると血管の収縮・拡張・透過性亢進といった様々な反応が始まります。

血管反応は大きく5つの過程に分かれると言われています。

①血管の拡張に伴う血流量の増加・収縮に伴う血流量低下
②血管透過性亢進とれる滲出液の形成
③細胞成分の血管外への遊走と細胞性滲出物の形成
④白血球による貪食
⑤炎症の終焉

 

1血管拡張に伴う血流量の増加・収縮に伴う血流量の低下

組織損傷・血管損傷が生じると出血が生じるため、止血のための反応として損傷した血管周囲の細動脈が一過性に収縮し、血小板が凝集して凝血塊ををつくることで止血します。

細動脈の一過性の収縮は通常なら、数秒から数分間持続します。

細動脈の収縮後に拡張が起こり、血管拡張は数十分~数時間持続します。

その結果、血流量が増加し発熱や熱感といった炎症の徴候が現れます。

また血管拡張に伴い細動脈・毛細血管・細静脈の血圧は高くなります。

血管収縮は血小板から分泌される5-THや血管内皮細胞から分泌されるエンドセリンなどの作用によって生じます。
血管拡張はブラジキニンとブラジキニンが肥満細胞を刺激することで生じるヒスタミンによって生じます。

 

2血管透過性の亢進と浸出液の形成

微小血管の内側は血管内皮細胞に覆われており、水や水溶性物質・酵素・二酸化炭素は通過出来ますが、通常なら免疫グロブリン・フィブリノーゲンなどといった血漿タンパク質や細胞は通過出来ません。

しかし、炎症が生じるとブラジキニンやヒスタミン・マクロファージ・線維芽細胞などから分泌される炎症性サイトカインの働きにより血管内皮細胞が収縮し、血管透過性が亢進するようになります。

そのため、タンパク質を含んだ血漿成分が滲出し、肉眼的にも腫脹が確認できるようになります。

3細胞成分の血管外への遊走と細胞性浸出液の形成

血管透過性が亢進すると血管内の体液成分が減少し、血液粘性が増加するため血流速度は低下します。

血流速度が低下することにより、血管の中心部に流れている細胞成分が血管内壁側に集まる現象が生じます。

血管内壁に集まった白血球は血管内皮細胞に付着し、形態を扁平化させ血管内皮細胞の間隙を通り抜けるようになります。

このように白血球が血管外へ浸潤することで白血球は炎症が生じている組織損傷部位に遊走します。

 

4白血球による貪食

組織損傷部位に白血球が遊走されると、まず好中球が侵入した細菌や細胞の残骸を除去します。(貪食作用)

※貪食作用:細菌や細胞の残骸を好中球内に取り込んで、好中球内のタンパク質分解酵素や活性酵素によって分解・死滅させる

次にマクロファージが損傷部に集まり、アポトーシスを起こした好中球や組織の残骸・細菌を貪食します。

またマクロファージと一緒に線維芽細胞が損傷・変性したコラーゲン線維んあどの細胞外基質を分解し、好中球やマクロファージといった細胞を移動させやすくします。

5炎症の終焉

壊死した細胞の除去が終了すると、炎症に関わる化学伝達物質が中和されていきます。

血管拡張・血管透過性亢進により損傷部位の血流量増加がみられていましたが、血流も正常に戻り、滲出した血漿成分はリンパ管を通って回収されていきます。

マクロファージは不要になった炎症細胞を貪食し、自らアポトーシスをするか、血漿とともにリンパ管を通ってその場を去ります。

このように炎症は終焉を迎え、組織損傷の場合は大体受傷後7~10日でみられます。

炎症の終焉により組織の修復が始まりますが、この修復はマクロファージなどから分泌されるサイトカインがそのきっかけを作る役割を担っています。

しかし、自己免疫異常のような慢性炎症の場合は組織修復ち同時に新たな炎症が始まるため、はっきりとした炎症の終焉がありません。そのため、治療に難渋することが多くなります。

まとめ

炎症が生じる原因は大きく外因内因の2つに分かれます。

炎症に関わる化学伝達物質や細胞は様々であり、炎症には以下の5つの過程があります。

①血管の拡張に伴う血流量の増加・収縮に伴う血流量低下
②血管透過性亢進とれる滲出液の形成
③細胞成分の血管外への遊走と細胞性滲出物の形成
④白血球による貪食
⑤炎症の終焉

炎症は大体組織損傷後7~10日で終息し、その後組織の修復が始まります。

しかし、自己免疫異常のような慢性炎症の場合はっきりとした炎症の終焉がありません。

ここまで読んで頂きありがとうございました。