【リハに役立つ!】体幹筋のグローバル筋とローカル筋の違いとは?

【医療者向け】基礎

体幹筋は四肢に力を伝達するための土台であり、パフォーマンスに関与することから様々な体幹トレーニングが行われています。

さらに腰痛においても体幹筋機能が向上が重要であると言われており、慢性腰痛に対する最もエビデンスの高い治療は【運動療法】です。

そして体幹筋は【グローバル筋】と【ローカル筋】に分かれます。

まずはグローバル筋とローカル筋の違いについてお伝えしていきます。

 

グローバル筋とローカル筋とは

グローバル:アウターマッスルにあたり、脊椎に直接付着せず多分節間を横断する表在筋。胸郭~骨盤に力を伝達する役割を有しています。
具体例:腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腰方形筋の外側線維・胸最長筋の胸部など

※グローバル筋は身体内部の外側にあり、起居などの際に大きな力を発揮するするための筋というイメージです。

 

ローカル筋:インナーマッスルにあたり、起始または停止が腰椎に直接付着する深層筋。腰椎の文節的安定性を制御しています。
具体例:腹横筋・内腹斜筋(胸腰筋膜付着線維)・多裂筋・棘間筋・横突間筋・胸最長筋の腰部など

※ローカル筋は座位や立位・歩行時などの姿勢を保つための微細な調整をするための筋というイメージです。

 

従来、体幹筋の機能向上には腹筋・背筋運動を代表としたグローバル筋に対する体幹筋トレーニングが行われてきましたが、1990年代からはローカル筋を対象とした研究も多く発表されるようになってきました。

ローカル筋の代表的な活動の1つがフィードフォワード作用です。

例えば上肢を挙上した際に、三角筋の活動より先に腹横筋が活動し体幹を安定させて上肢の運動を行います。

下肢においても同様であり、四肢の活動に先行して腹横筋などのローカル筋が活動し四肢の安定した活動の土台となっています。

また歩行において腹横筋はあまり注目されませんが、蹴り出しのタイミングにおいて大きな床反力を受ける準備を担っています。

また、歩行速度を変えて体幹筋の筋活動を評価すると遅い速度ではグローバル筋は活動していないのに対して、ローカル筋は歩行周期全体を通じて活動していることが報告されています。

このように、ローカル筋は歩行など負荷の低い反復運動や姿勢制御を行う際には、低い活動量を保ちながら持続的に活動能力を有しています。

ローカル筋の活動様式

ドローイン

ドローインは腹横筋の選択的収縮を促す手法であり、ゆっくりと内腹斜筋の収縮が入らない時点まで腹部を引き込ませます。

ドローイン時の腹横筋は内腹斜筋の深層を滑走するように収縮するので触診部位(上前腸骨棘の内側)では膨隆する感覚より深層の腹横筋は横方向に滑走していることを感じます。

ドローインを最大まで行う(腹部を最大まで引き込む)と、後半は内腹斜筋の収縮により触診部位が膨隆するように感じます。

触診部位が膨隆するように感じると、内腹斜筋を巻き込んだドローインであり腹横筋と内腹斜筋の共同収縮となります。

ドローインは腹直筋や外腹斜筋といったグローバル筋の活動を抑制した状態で腹横筋の活動を促通させることができ、特に背臥位で下腹部のみを引き込ませることが腹横筋の下部および中部背にの促通に有効であると示されています。

片側の腹横筋の促通を図りたい場合は、促通した方を下にして側臥位になりドローインを行うことが有用と言われています。

 

ブレイジング

ブレイシングは腹筋群全体を共同収縮を促通するトレーニングであり、腹部全体に力を入れて膨らませます。

ブレイシングは体幹の剛性を高めるトレーニングであり、ドローインよりも収縮強度は高くなります。

体幹の安定性向上のためにブレイシングが有用であると報告もされています。

 

多裂筋を対象にしたトレーニング

多裂筋もローカル筋として注目すべき筋であり、多裂筋を促通させるには腹臥位や四つ這いや下図のような姿勢になり、骨盤の前傾を促すような運動が有用であると言われています。

その際に、表在脊柱起立筋の過剰な収縮を認めずに下位腰椎の多裂筋の収縮が起きていることを触診で確認します。

 

体幹剛性を高めるトレーニング

ローカル筋の機能を促通させた後は、体幹の剛性を高めるためにBridge exerciseが行われます。

基本的な運動方法として、Elbow-toe(肘と足先)・Hand-Knee(手と膝)・Back Bridge・Side Bridgeがあります。(上図参照)

それぞれ負荷量や期待出来る効果が異なるため、目的に沿って運動方法を決める必要があります。

 

Bridge exerciseの評価応用

また、Bridge exerciseとしてElbow-toeでは右上肢挙上時に右腹横筋と左外腹斜筋の活動量が増大します。

つまり、Elbow-toe時に右上肢挙上が困難、または代償動作が出る場合は右腹横筋と左外腹斜筋の機能低下を疑うことが出来ます。

Hand-Kneeの上下肢挙上では挙上した下肢と同側の多裂筋と反対側の脊柱起立筋が有意に活動量が増加します。

そのため、もしHand-Kneeにおいて右上肢・左下肢挙上時に代償動作が確認されたら、左多裂筋・右脊柱起立筋の機能低下を疑うことが出来ます。

 

Bridge exerciseの段階上げ

Front BridgeはHand-Knee➡Elbow-Knee➡Elbow-toeの順に負荷が上がります。

そのため、患者の身体機能に応じて負荷量を調整します。

また、Elbow-toeでは腹直筋・外腹斜筋(グローバル筋)の活動量が大きかったことに対して、Hand-Kneeでは脊柱起立筋・多裂筋の活動が大きかったとされています。

しかし、腹横筋はどの方法でも活動量は変わらなかったとされています。

体幹姿勢保持機能向上を目的としたトレーニングを行いたい場合は、Hand-KneeやElbow Kneeなどの比較的負荷量の弱いトレーニングで行うといいかもしれません。

腰椎安定性を制御するための最大随意収縮能力の約30%程度の活動量で十分であるとされていることからも大きな筋負荷は必要ないとされています。

 

まとめ

体幹筋は四肢の運動を安定して行うために先行して活動し、土台の役割を果たします。

体幹筋はグローバル筋とローカル筋に分かれ、グローバル筋は体幹の運動に作用し、ローカル筋は体幹の姿勢保持に作用します。

グローバル筋を対象はトレーニングは従来からありますが、ローカル筋を対象したトレーニングは選択的に腹横筋を活動させるドローインや多裂筋を活動させる骨盤前傾を促すトレーニングを行います。

ローカル筋の機能向上が認められたら次のステップとして、Bride exerciseを負荷量や目的に合わせて行うといいかもしれません。

参考文献

体幹筋機能のエビデンスとアスレティックトレーニング:大久保 雄
日本アスレティックトレーニング学会誌 第 5 巻 第 1 号 3-11(2019)

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。

コメント

  1. […] バードッグの負荷に関しては以下の記事を参照して下さい。 ➡体幹筋のグローバル筋とローカル筋の違いとは? […]