【リハに役立つ!】関節包の変化に由来する拘縮

【医療者向け】ストレッチ

関節可動域制限を生み出す拘縮の最も多い責任病巣は骨格筋ですが、骨格筋に次ぐものが関節包であるとも言われており、関節可動域の原因として関節包の拘縮は決して無視できません。

また、不動期間が一カ月以内では骨格筋の拘縮が主な関節可動域制限を生じさせる原因ですが、一カ月以上になると関節包が主な拘縮の責任病巣の中心になると考えられています。

ここでは関節包の構造特性とその伸張性についてお伝えしていきます。

関節包の構造特性

関節包は関節腔を形成し、関節運動の方向を制限することにより関節の安定性に寄与しています。

関節包は骨膜から連続して関節全体を覆う構造となっており、疎性結合組織からなる内層【滑膜】と密性結合組織からなる外層【線維膜】に分けられ、どちらも主要な構成成分はコラーゲン線維となっています。

滑膜の厚さは関節によって様々であり共通して、関節腔に向かう内側の表層には滑膜ヒダがみられ、関節内の死腔を埋めています。

また、滑膜の表層は滑膜内膜とも呼ばれ、2~3層の滑膜細胞で覆われています。

その滑膜細胞はA細胞とB細胞に分けられ、A細胞はマクロファージに構造・機能が類似しており、貪食機能を有していることから代謝産物などの消化の役割を果たし、関節内浄化作用に関与するとされています。

B細胞は線維芽細胞と類似しており、ヒアルロン酸(滑液の構成成分)の算出・マトリックスメタロプロテアーゼ(コラーゲン分解酵素)などの分泌も認められています。

滑膜下層(滑膜の外側の層)では構成する組織により疎性結合組織・線維性結合組織・脂肪組織に分けられ、同じ関節包であっても部位により複数のタイプが存在します。

Yamazaki S:Fibrous structure of joint capsule in the human shoulder. Okajimas Folia Anat Jpn  67:127-139, 1990

上記先行研究ではヒトの肩関節包では前方関節包の内側部及び滑膜周囲は疎性結合組織であるが、その他の部位は線維性結合組織とされています。

次に線維膜は弾性に乏しく関節を補強する役割を持っており、線維膜の一部は関節包靭帯として存在します。

線維膜の主要な構成成分はタイプⅠコラーゲンであることからも、伸張性よりも安定性に強く寄与していることが分かります。

線維膜の厚さ・コラーゲン線維の走行方向はストレスに依存していると言われており、ストレスがかかるほど厚さは増加し、線維束の走行方向は関節運動の方向と一致します。

Ralphs JR, et al:The joint capsule:structure, composition, aging and disease. J anat   184:503-509. 1994

上記先行研究では、重力線は股関節の後方を通るため、立位時には股関節の伸展方向へ力が作用することになりますが、それを制御するために前方関節包は後方関節包と比較して肥厚しており、最も厚い部分では1㎝を超えるとも言われています。

関節包の伸張性とその制御機構

肩関節などでは関節包単独で伸張することが基本的に難しく、関節包を伸張する際は靭帯が関節包と結合していることから関節包と靭帯の複合組織を伸張していると解釈する必要があります。

肩関節の中でも靭帯が少ない部分(後方下肩甲上腕靭帯の頭側部位)では、他の肩関節部位よりも伸張率が高いという報告があり、靭帯と比べると関節包の伸長率は比較して高いことが分かっています。

また、関節包は一定の張力で伸張させた際、伸張方向によってその伸長率が異なることが分かっています。

肩関節だけでなく、股関節でも伸張方向によって伸長率が異なることが分かっており、その伸長率は関節包が厚いほど低くなります。

つまり、股関節でいえば前方の関節包は厚いので、後方よりも伸長率は低いということです。

関節包の主要な構成成分はコラーゲン線維であり、関節包の伸長率はそのコラーゲン線維の量に依存すると考えられます。

関節包は内層(コラーゲン線維が粗い滑膜)は伸張性に富んでおり、外層(コラーゲン線維が密な線維膜)では伸張性が乏しいことから、元々の伸張性が富んでいる滑膜にてコラーゲン線維の線維化が生じると拘縮へと発展すると考えられます。

ここまで読んで頂きありがとうございました。