【リハに役立つ!!】関節包の臨床的場面における変化まとめ

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不動期間が一カ月以内における拘縮発生由来の関節可動域制限は骨格筋が主な病巣とされていますが、不動期間が一カ月を超えると関節包が拘縮の責任病巣の中心になると考えられており、関節包拘縮は関節包の伸張性低下によて生じます。

臨床的場面における患者の関節包の変化についてお伝えしていきます。

不動による関節包の変化

不動による関節包の変化について、古くからその線維化や滑膜における癒着などといった組織学的変化が報告されており、関節性拘縮の病態の1つとして指摘されています。

武村啓住, 他:ラット膝関節2週固定後の拘縮に対するストレッチが関節構成体に及ぼす病理組織学的影響. 理学療法学 31:76-85,  2004

上記研究ではラット実験ですが、2週間不動化された膝関節の膝蓋靭帯下の滑膜では滑膜下層における線維増生後方関節包内層の滑膜では滑膜細胞下における線維芽細胞の増殖や滑膜下層における線維増を認め、後方関節包ではコラーゲン線維束の密性化とコラーゲン線維束間の狭小化を認めています。

膝蓋靭帯下の滑膜:滑膜下層の線維増生
後方関節包内層の滑膜:滑膜細胞下の線維芽細胞増殖・滑膜下層の線維増生
後方関節包:コラーゲン線維束の密性化・コラーゲン線維束間の狭小化

 

Matsumoto F, et al:High collagen type Ⅰ and low collagen type Ⅲ levels in knee joint contracture:an immunohistochemical study with histological correlate. Acta Orthop Scand 73:335-343, 2002

上記研究はラットを用いて膝関節を不動化した際の不動期間に伴うコラーゲンタイプⅠ・Ⅲの発現状況について調べています。

前方関節包の滑膜下層では不動4・16週後後方関節包の滑膜下層では不動2・4・16週後にタイプⅠコラーゲンの発現増加を認めています。

また前方の滑膜下層では不動32週後後方関節包の滑膜下層では不動16週後にタイプⅢコラーゲンの発現減少を認めています。

【タイプⅠコラーゲン】
・前方関節包:不動4・16週後に発現↗
・後方関節包:不動2・4・16週後に発現↗
【タイプⅢコラーゲン】
・前方関節包:不動32週後に発現↘
・後方関節包:不動16週後に発現↘

しかし、別の研究では不動によるタイプⅠコラーゲンの発現増加は認めていないとされており、線維化の発生には否定的な意見もあります。

不動による関節包の線維化に関して組織学的・分子生物学的手法を用いた研究では一定した見解が得られていません

不動期間の延長に伴う関節包の線維化の発生状況

沖田 実さんの研究ではラット膝関節をギプスを用いて不動化し、不動期間に伴う関節包のコラーゲン線維増生と密性化の状況について調べています。

不動1週後からコラーゲン線維の増生が生じ、不動2週後以降はコラーゲン線維の密性化が合わせて生じ、不動4週後ではこれらの変化が大きくなり、特に線維化が顕著になっています。

さらに筋線維芽細胞はコラーゲン産生の中心的役割を担うことが知られており、ラットの膝関節を不動1週後には筋線維芽細胞が増加することが分かっており、さらに不動4週後ではさら増加することが分かっています。

これらのことから不動1週後から関節包では線維化が進行し始め、不動期間が1カ月を超えると線維化がさらに強くなることを示唆していると思われます。

※線維化:病的に組織内のコラーゲン線維含有量が増加している状態

 

さらに不動期間が一カ月を超えると滑膜内膜同士、及び滑膜内膜と隣接する組織との間で癒着が発生する可能性があり、さらに関節包の伸長性低下を招くことになります。

【不動による関節包の変化】
不動1週後:コラーゲン線維の増加
不動2週後:コラーゲン線維の密性化
不動4週後:コラーゲン線維の増加(⁺密性化)+滑膜内膜と隣接する組織の癒着

関節の外科術後・関節内外傷後の拘縮

肘関節周囲の骨折に対して観血的治療を行った症例では、観血的受動術が必要な重篤な拘縮が発生していることが時おりみられると言われており、そのほとんどが肘関節関節内骨折であったとされています。

実際に肘関節内骨折後の拘縮が生じている前方関節包では筋線維芽細胞が通常と比較し4倍増加しているとされています。

筋線維芽細胞はコラーゲン線維産生の中心的役割を担っているため、それが4倍になっているということは関節周囲の骨折は関節包におけるコラーゲン線維の増生(関節包の線維化)を助長し、さらに線維化の状況は不動のみを行った場合よりも顕著であるとされています。

また、動物実験にて大腿顆部を剥離骨折させた後、骨折部分を不動化すると骨皮質剥離部分に線維性癒着が生じ、不動期間の延長に伴い癒着の形成が著しくなるとされています。

まとめ

関節包の伸張性低下には【関節包のコラーゲン線維の増加と密性化】及び【滑膜の癒着】が関わっているとされていることが分かりました。

不動1週後から関節包では線維化が進み始め、不動期間が1カ月を超えると線維化が顕著になり、滑膜では癒着が生じる可能性があります。

さらに関節周囲骨折及び観血的手術後では、さらに関節包の線維化の進行が進みやすくなります。

そのため不動期間が一カ月を超えないように注意し、関節周囲の骨折では関節包の線維化が進まないように出来るだけ早期から愛護的に動かす必要があるということです。

以上のことを踏まえてリハビリを進めていくことが必要になると思われます。

ここまで読んで頂きありがとうございました。