【リハに役立つ】骨格筋の機能解剖まとめ

【医療者向け】基礎

骨格筋は多数の筋線維の束で、その周囲をコラーゲン線維を主成分とした厚い結合組織の筋外膜(筋上膜・外筋周膜ともいう)で覆われています。

個々の筋線維は筋内膜(内筋周膜ともいう)という薄い結合組織の膜で覆われており、これを筋周膜(比較的厚い結合組織の膜)が覆っています。

骨格筋は両端が腱として骨と骨を近づけ、関節運動を発生させる重要な機能があります。

関節運動範囲を保持するためには骨格筋の十分な伸張性は不可欠であり、筋膜の機能が大きく関わっています。

また、骨格筋内には筋紡錘や腱紡錘といった固有感覚受容器があり、スムーズな関節運動を行う為に骨格筋の長さ・張力の変化を感知しています。

筋線維

基本構造

筋線維は複数の核を持つ多核細胞です。

筋線維の大部分は収縮装置である筋原線維で占められ、筋原線維はミオシンが重合した筋フィラメント・アクチントロポミオシントロポニンが重合した細い筋フィラメントが重なり合う形で配列しています。

ミオシンで構成された太い筋フィラメント・アクチンで構成された細い筋フィラメントの配列はZ帯で区切られ、Z帯とZ帯の間を筋節といいます。

太い筋フィラメントは常に筋節の中央に位置させる必要があり、その両端はコネクチン(タイチンともいう)と呼ばれるスプリング機能をもつ弾性タンパク質でZ帯と連結されています。

つまり、他動的に筋線維を伸張してもコネクチンの機能により、力を除くと元の長さに戻る弾性特性を有しています。

筋線維の細胞膜にあたる筋形質膜とその外側を包む基底膜の間には筋衛星細胞が存在します。

筋衛星細胞は、幹細胞の性質を持っているので活性化すると筋芽細胞➡筋管細胞➡筋線維へと分化します。

つまり、外傷によって筋損傷が生じた際には筋衛星細胞が活性化され、筋線維の再生が促されます。

 

筋収縮のメカニズム

随意的に筋収縮を起こすには皮質脊髄路を介して脊髄前角のα運動ニューロンを興奮させます。

神経筋接合部ではα運動ニューロンの神経終末からは神経伝達物質であるアセチルコリンが放出され、筋線維側にあるアセチルコリン受容体が受け取ることで筋線維に興奮が伝わります。

アセチルコリンを受け取った筋線維ではNa⁺・K⁺・Ca+が筋形質膜を通過するようになり、筋線維が脱分極を起こし筋小胞体が刺激され、その表面にあるカルシウムポンプの作用によって筋線維内に向かってCa²⁺の放出が始まります。

筋線維内のCa²⁺濃度が上昇するとCa²⁺がトロポニンに結合し、ミオシン分子の頭部との結合(クロスブリッジ)が形成されます。

次にミオシン分子にあるATP(アデノシン三リン酸)に加水分解が生じ、そのエネルギーを使用することでミオシン分子の頭部が屈曲運動を起こし、アクチンをたぐりよせることでアクチンは滑るようにミオシンの間に引き込まれます。

こうすることでZ帯とZ帯の距離が短縮し、筋収縮が生じます。

まとめ
1.α運動ニューロンの興奮が神経終末に伝達される
2.神経終末からアセチルコリンが放出
3.Na⁺・K⁺・Ca²⁺が筋形質膜を通過し、筋線維が脱分極する
4.筋小胞体が刺激されCa²⁺が放出される
5.Ca²⁺がトロポニンに結合し、クロスブリッジが形成される
6.ATPの加水分解によって生じたエネルギーがアクチンをたぐり寄せる
7.Z帯とZ帯が短縮し筋収縮が生じる

筋弛緩が生じるメカニズムとして、α運動ニューロンの神経終末からのアセチルコリン放出が終わるとカルシウムポンプ作用によってトロポニンに結合していたCa²⁺が筋小胞体に取り込まれます。

Ca²⁺が再び筋小胞体に取り込まれることで、ほぼ同時にミオシン分子にATPの再供給が行われ、ミオシン分子の頭部(クロスブリッジ)が解除され、筋線維が弛緩されます。

筋膜

基本構造

筋膜には骨格筋全体を覆う最外層の筋上膜・骨格筋の筋束を覆う筋周膜・個々の筋線維を覆う筋内膜があります。

結合組織は主に水分とプロテオグリカンからなる基質の中に、線維成分としてコラーゲン線維とエラスチン線維、細胞成分として線維芽細胞や組織球などが存在する構成となっており、水分を除くと圧倒的にコラーゲン線維の割合が高いです。

筋膜のコラーゲン線維は密性結合組織(腱や靭帯と同様)に区分されます。

しかし、腱や靭帯のコラーゲン線維は組織の長軸方向に対して平行に配列されており組織の長軸方向への伸張性はわずかとなります。

筋膜のコラーゲン線維は様々な方向へ配列する網目状の形態をしており、交織線維性結合組織と呼ばれ骨格筋の弛緩・伸張時にコラーゲン線維の配列変化が認められ筋膜は伸張性に優れています。

しかし、ラット実験では不活動期間が一定期間を過ぎるとコラーゲン線維の配列変化が得られにくくなるという報告もあります。

筋膜には、太い血管・神経、筋紡錘、脂肪組織は筋周膜に、毛細血管と細い神経筋内膜に分布しているように他の組織も多く分布しています。

筋紡錘・腱紡錘からの固有感覚情報以外の感覚情報(主に痛覚)は、筋膜に分布している末梢神経が中心となって検出しているといえます。

 

筋膜の伸張性

スムーズな関節運動を行う為には骨格筋の伸張性が重要であり、直列弾性要素並列弾性要素といわれる力学的特性が深く関わっています。

 

直列弾性要素

骨格筋の直列弾性要素は筋線維自体と筋線維に直列につながっている腱によって発揮されていますが、腱を構成するコラーゲン線維の配列から考えると直列弾性要素に対する腱の関与はわずかです。

直列弾性要素の多くの部分は筋線維自体によって発揮されており、コネクチンがこの機能を担っています。

 

並列弾性要素

並列弾性要素は筋膜によって発揮されます。

骨格筋が弛緩している時は筋膜を構成するコラーゲン線維は様々な方向に配列した網目状の形態をしていますが、骨格筋を伸張するとその配列は伸張方向に対してほぼ平行になります。

筋膜を構成するコラーゲン線維には腱や靭帯と異なり、十分な可動性があるので筋膜の伸張性が生み出されます。

骨格筋の伸張の際は筋線維よりも先に筋膜が伸張されるため、コラーゲン線維の配列変化が円滑に生じなければ、骨格筋の伸張性は低下することになります。

筋膜は主にタイプⅠコラーゲン・タイプⅢコラーゲンによって構成されます。

タイプⅠコラーゲンは骨・腱・靭帯などの硬度が要求される組織であり、タイプⅢコラーゲンは血管や肺などの伸張性・柔軟性が要求される組織です。

筋膜の中でも伸張性・柔軟性があるタイプⅢコラーゲンは筋内膜で特に含有率が高く、伸張性を生み出す構成となっています

感覚受容器としての骨格筋の役割

骨格筋の感覚受容器は主に筋周膜にある筋紡錘と筋腱移行部にある腱紡錘と呼ばれる固有の感覚受容器であり、円滑な関節運動や姿勢制御などに重要な役割を担っています。

激しい運動によって筋肉痛が生じますが、骨格筋内にも痛覚を感知する侵害受容器や圧覚を感知する受容器も存在します。

 

筋紡錘

筋紡錘は中央部が膨大し両端が細長い形をし、筋紡錘は細く短い特殊な筋線維紡錘鞘から成り立っています。

紡錘鞘に包まれている筋線維は錘内筋と呼ばれています。

1つの紡錘鞘に含まれる錘内筋線維は4~12本あり、その中央部は赤道部と呼ばれ、核が集積(核鎖線維核袋線維)し、筋原線維が乏しく非伸縮性となっています。

赤道部の両側は極部と呼ばれ、筋原線維に富んでおり赤道部と極部の移行部は傍赤道部と呼ばれます。

錘内筋線維は感覚神経と運動神経の二重神経支配を受けており、感覚神経の終末は一次・二次終末に区分されます。

一次終末にはⅠa線維に由来し、これは格鎖線維・核袋線維の両方の赤道部に環らせん状に巻き付き、錘内筋線維の長さ変化とその際の速度変化を感知しています。

筋紡錘が伸張された時にⅠa線維の発火頻度が高くなりますが、速く伸張された時はさらに発火頻度が高くなるということです。

二次終末はⅡ線維に由来し、主に核鎖線維の傍赤道部に神経筋接合部をつくり、骨格筋の長さの変化のみを感知しています。

錘内筋線維を支配している運動神経はγ運動ニューロンであり、感覚器としての感度を調整する働きをしています。

γ運動ニューロンの終末は核鎖線維・核袋線維の傍赤道部から極部に広く分布しています。

Ⅰa線維・Ⅱ線維は感覚として骨格筋の伸長時だけでなく、γ運動ニューロンが興奮し極部の筋原線維が収縮します。

なぜ、γ運動ニューロンが興奮するのか…?

錘内筋線維は錘外筋線維と並列な位置関係にあり、錘外筋線維が収縮すると骨格筋の長さが短くなり、錘内筋線維もたるんでしまい、感覚器としての役割を失ってしまいます。

感覚器としての役割を保つためγ運動ニューロンを興奮させ、錘内筋線維を収縮させることで錘内筋線維の赤道部を張った状態に保つことが出来ます。

 

腱紡錘

腱紡錘(ゴルジ腱器官)は腱組織の束の中に網の神経が入り込んだ構造となっており、主に筋腱移行部に存在します。

腱紡錘はⅠb線維として感覚神経のみ支配を受けています。

腱紡錘は筋線維と直列な配列となっており、骨格筋の伸張に伴って筋腱移行部が伸張された時、または骨格筋が収縮し筋腱移行部が伸張された時にⅠb線維は興奮します。

腱紡錘は骨格筋の長さの変化に加えて、張力の変化も感知する受容器ということです。

圧覚・痛覚に関与する受容器

骨格筋内には筋紡錘や腱紡錘の他に自由神経終末パチニ小体が存在します。

自由神経終末の多くは侵害受容器とされ、筋膜や骨格筋内の血管壁に多く存在しています。パチニ小体は筋膜に存在し、骨格筋が圧迫された刺激を感知しています。

骨格筋の侵害受容器は高閾値機械受容器ポリモーダル受容器であり、高閾値機械受容器は伸長などの機械的刺激に反応しAδ線維を経由し脳に伝えられます。

骨格筋を過度に伸張すると痛みを感じることがありますが、高閾値機械受容器によって感知された痛みといえます。

骨格筋内のポリモーダル受容器はブラジキニン(BK)やK⁺・5-HTなどの化学物質の他に圧迫やつまむ・熱刺激などのあらゆる刺激に反応しC線維を通じて脳に伝えられます。

あらゆる刺激を感知するため筋損傷時の痛みは主にポリモーダル受容器によって感知されたものです。また、骨格筋の伸張や収縮によっては反応し辛いが、虚血中の筋収縮によって強い反応を示すものもあります。

ここまで読んで頂きありがとうございました。