【リハに役立つ】広筋群が歩行時の重心上方移動に関わる理由とは?

【医療者向け】機能・解剖

大腿四頭筋の大部分を占める広筋群(内側広筋・外側広筋・中間広筋)のみが収縮すると膝関節伸展が生じます。

膝関節伸展について詳しくみていくと、膝関節伸展には大腿遠位・下腿近位部が後方へ回転しています。

広筋群に筋収縮による膝関節伸展は大腿遠位部・下腿近位部を後方へ加速させる力を生じさせているということであり、大腿の後方への加速は股関節伸展、下腿近位部の後方への加速は足関節底屈を生じさせます。

上記のようにある筋が発揮した張力が体節(骨)に加わり、その作用が当該筋が直接またいでいない体節にも伝わる現象を、体節間のダイナミックカップリングと呼びます。

 

歩行時の立脚前半では大腿四頭筋の筋収縮が生じます。

その時の広筋群の筋収縮が身体にどのような影響を及ぼすのかお伝えしていきます。

広筋群の筋発揮が歩行立脚前半時に全身に及ぼす影響

歩行における初期接地~立脚前半にかけて生じる床反力は膝関節を屈曲方向に回転させる力を生じさせるため、広筋群などの膝関節伸展筋群の筋張力により膝関節の過度な屈曲を防止します。

先ほどもお伝えしましたが、広筋群の筋張力による膝関節伸展は大腿遠位部と下腿近位部を後方へ加速させます。

さらに遠位に向かっては、下腿・足部を通じて床を押す力となります。

近位に向かっては大腿を通じて股関節に伝わり、股関節の伸展+関節内部で前上方に向かう力(関節間力)が生じます。

関節間力は骨盤・脊柱を通じて、最終的に体幹を前上方へと加速させる力となります。

このように広筋群は膝関節を伸展させる単関節筋ですが、運動学的作用として全身に広く作用することが分かります。

荷重位で各筋の張力伝達

Arnold AS, et al:Muscular contributions to hip and knee extension during the single limb stance phase of normal gait:a framework for investigating the cause of crouch gait. J Biomech  38:2181-2189,2005

上記研究は立脚期における股関節および膝関節の動きと各筋が発揮する張力と関係性を調べています。

股関節の伸展方向へ最も加速させる筋は大殿筋であり、非常に大きく貢献しています。(下図)

従って、歩行時の股関節の抗重力伸展では、大殿筋が最も効率よく作用できると言えます。

広筋群は大内転筋・ハムストリングスに次いで4番目であり、股関節を伸展させる力となっています。

膝関節伸展において一番貢献度が高いのは大殿筋であり、2番目に広筋群がきます。(下図)

荷重下では大殿筋が発揮する筋張力が大腿を後方に加速させる結果、膝関節が伸展します。

大腿を後方に加速させる力が強いので、広筋群よりも貢献度が高いということが考えられます。

膝関節を跨ぐ大腿直筋やハムストリングスよりも貢献度が高いため、膝関節の動きは膝関節を跨がない筋以外の影響も考える必要があるということです。

 

抗重力位で股関節・膝関節伸展を促すためには?

高齢患者では、関節可動域制限以外の要因で立位姿勢時に股関節・膝関節が屈曲位であることが多くあります。

転倒予防・関節負担の軽減の観点からも立位時に股関節・膝関節伸展を促すことは大切だと考えます。

膝関節では股関節・足関節周囲の単関節筋の影響を大きく受けるため、広筋群のような膝関節伸展筋の機能低下が生じていても代償することができます。

この代償を利用して荷重位で膝折れを抑制することは可能です。

具体的には荷重下にて膝関節を軽度屈曲位にし、徒手又はセラバンドを用いて大腿を前方に引っ張りながら股関節を伸展させることを意識してもらうことで膝関節伸展を行う訓練をします。(下図)

足関節底屈筋を用いて膝関節伸展を図りたい場合は、下腿を前方に引っ張りながら足関節を底屈させることを意識してもらい膝関節伸展を行う訓練をします。

抵抗負荷に耐えられない場合は、抵抗負荷をなくし軽度膝関節屈曲位から同様に膝関節を伸展させる訓練を行うとよいかもしれません。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。

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