【リハに役立つ!!】屈曲弛緩現象とは?

【医療者向け】基礎
屈曲弛緩現象とは立位で前屈運動の際に腰椎屈曲の最終付近で脊柱起立筋の活動が減少あるいは消失する現象】をいいます。

屈曲弛緩現象について詳細を伝える前に脊柱を安定させるシステムについてとお伝えします。

 

脊柱を安定させる3つのシステム

脊柱の安定性は能動的システム・受動的システム・神経システムの3つのサブシステムから構成されています。(上図)

【能動的システムには能動的な筋収縮及びそれに伴う腱の張力】、【受動的システムには靭帯・関節包・椎間板・筋の伸長時の張力】、【神経システムには筋腱・靭帯の受容器からの入力情報とそれに伴う神経制御】が含まれます。

立位・座位などのそれぞれ姿勢変化、又は荷物を持つなどの外力による負荷に対して適切な安定性を得るために、上記3つのシステムを協調・切り替えることで作用しています。

しかし受動的システムは自ら力を発揮して安定性を得ることは出来ません。また、約10kg程度の垂直荷重までしか耐えることが出来ず前後彎の中間位付近では受動的システムの貢献度は低いと考えられます。

そのため、しっかりと脊柱を安定させるには能動的・神経システムを協調させながら個々の筋張力を調整する必要があります。

屈曲弛緩現象

立位で前屈していくと上半身の質量から体幹には前回りのトルクが生じるため、腰背部後面の組織が前回りのトルクに対抗して姿勢を保持するために力を発揮して姿勢を保持する必要があります。

姿勢を保持するために脊柱起立筋が活動するため、前屈が大きくなるほどトルクが大きくなるため必要な筋収縮が強くなります。

しかし前屈が進み腰椎屈曲の最終域付近になると、受動的システム(後方の靭帯・関節包・椎間板、伸張される筋など)による安定が強くなり、脊柱起立筋による能動的な筋活動を弱めることが出来ます。

このように前屈位が大きくなると前回りのトルクが大きくなるため、姿勢保持に必要な力が大きくなりますが受動的システムによる安定が強くなるため、脊柱起立筋による能動的な安定が弱くなること屈曲弛緩現象といいます。

しかし、腰背部の脊柱起立筋全てが弛緩するわけではなく、脊柱起立筋の深層部・腰方形筋は持続した筋活動が確認されています。

つまり、腰背部脊柱起立筋の表層部は最終可動域付近の前屈位で活動が消失するものの、深層筋・腰方形筋では活動が持続されるということです。

最終可動域付近で受動的システムによる安定が強くなるものの、受動的システムにのみ依存しているわけではなく能動的な筋活動も部分的に機能しているということになります。

腰痛患者では

腰痛患者では屈曲弛緩現象が観察されないことが多くあります。

筋スパズム・疼痛回避などによる筋活動パターンが関与している可能性があり、腰痛患者を対象とした腰痛改善のために脊柱起立筋を筋電図を用いて評価することが有用であるということです。

このように屈曲弛緩現象が観察されない腰痛患者のリハビリでは、筋電図を用いたバイオフィードバックを用いた運動療法を行うことで、屈曲弛緩現象が確認されるようになると報告されています。

脊柱を安定化させるには受動的システムと適切な能動的システムの協調関係が大切であり、腰痛患者の場合特異的な現象が観察されるので筋電図を用いて評価・治療を行うことは非常に重要です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。