療法士なら知っておくべきMRIに関する基礎知識まとめ

【医療者向け】画像

MRIは磁石と電磁波を使い核磁気共鳴現象を利用して断画像を得る手法です。

強い磁石内に人体を入れて電磁波を照射します。

照射した電磁波が人体内の水素原子核の動きに影響を与え、照射した電磁波を止めた時に水素原子核の動きは元に戻ろうとします。

人体内の水素原子核の数は異なるため、この元に戻ろうとする動きをキャッチしてコンピューターで処理して画像化します。

これがMRIに関するメカニズムとなります。

もう少し詳しく見ていきますと…

電磁波を照射すると水素原子核は静磁場方向に対して垂直になるまで倒されます。(下図)

 

MRI信号は以下の2つを観測します。

1.静磁場に沿った方向の信号

2.静磁場に垂直な方向の信号

照射していた電磁波を切った直後は、静磁場方向からは完全に倒されているため、1.静磁場方向の信号はゼロになり、2.静磁場に垂直な方向の信号は最大値になります。

1.静磁場に沿った方向の信号では熱平衡状態に戻るまでの回復の様子を観測します。

※熱平衡状態:水素原子核のスピン運動などが【安定した】エネルギー状態となっていること

2.静磁場に垂直な方向の信号は静磁場方向に垂直な平面状で回転する磁気モーメントとして観測します。電磁波の照射が止まると、時間の経過と共にエネルギーが消失し磁気モーメントが分散し消失します。

 

T1とT2

T1強調画像は静磁場に沿った方向の信号を観測し、T2強調画像は静磁場に垂直な方向の信号を観測します。

電磁波を止めると静磁場に垂直なエネルギーから静磁場方向へのエネルギーへと戻っていくためT1強調画像静磁場方向へのエネルギーが戻っていく過程T2強調画像エネルギーが消失していく過程をみていることになります。

T1強調画像:静磁場方向へエネルギーが戻っていく過程
T2強調画像:静磁場に垂直方向からエネルギーが減っていく過程

水分子が高分子につながっている箇所では、エネルギーが早く消失します。(T1回復・T2減衰過程の時間が早くなります)

水分子が多く存在している箇所ではエネルギーは徐々に消失していきます。(T1回復・T2減衰過程の時間が遅くなります)

人体の箇所や病態によって水分子のつながりや量が異なるため、それをキャッチしコンピュータ処理してMRI画像として出てきます。

基本的には組織間のT1回復する速さの差を画像にしたものがT1強調画像であり、T2減衰する速さの差を画像にしたものがT2強調画像です。

 

MRI画像で分かるもの

MRI画像にはT1強調画像・T2強調画像・T2*強調画像・プロトン密度強調像がありますが、ここではT1強調画像・T2強調画像に絞ってお伝えしていきます。

T1強調画像

脂肪組織・骨髄(脂肪を多く含む)は高信号(白)となり、筋組織中等度の信号になります。関節軟骨中~低信号になり、関節液低信号(黒)となります。

T1強調画像は解剖学的な構造を把握しやすい画像とされています。

 

T2強調画像

水を多く含んだ組織ほど高信号となり、関節液高信号になります。筋組織や軟骨中~低信号になります。

関節液は高信号、筋組織・軟骨は中~低信号であることから、関節液と関節軟骨の分離が分かりやすく関節の評価が行いやすいです。

また、正常な靭帯・腱板・半月板などは水分が少ないので低信号になります。

 

T1強調像とT2強調像の輝度まとめ

T1強調像 T2強調像
骨髄 高信号 高信号
骨皮質 低信号 低信号
関節液 低~中程度 高信号
筋肉・関節軟骨 低~中程度 低~中程度
靭帯・腱板・半月板 低信号 低信号
見方のポイント ・水成分は低信号

・骨折や骨挫傷が骨髄の高信号のなかに低信号として良好に描出される

・脂肪や新鮮な血種は高信号

・関節液と関節軟骨部分との区別が難しい

・水成分が高信号

・炎症や損傷による漏出液は高信号

・関節軟骨部分の描出に最適

・脂肪が高信号であり、脂肪抑制を付加する場合もある

 

見たい所見と行う検査

見たい所見 行う検査
腫瘍性病変 腫瘍性病変の場合T1・T2強調像を撮影後、腫瘍の伸展範囲を見る為には広いFOVのSTIR法を撮影

嚢胞性(脂肪抑制T2強調像で高信号)、血液成分が含まれているのか(新鮮な血液であれば脂肪抑制T1強調像で高信号)などを判定

造影検査では栄養血管などの同定、周囲組織への浸潤などをみます(主にT1強調像の脂肪抑制で撮影)

関節部位の損傷 主に単純撮影のみ

損傷による炎症がればT2強調像で中~高信号な部位を検出します

関節近くの骨の挫傷はT1強調像で低信号、T2強調像では高信号(脂肪抑制併用)

滑膜病変 関節包内の滑膜細胞の増殖程度を判断するのには造影検査

骨への炎症を見るために使用し、T1強調像やT2強調像を撮影しそのあとに造影検査を実施

Drがセラピストに気づいて欲しいこと

MRI画像は単純X線やCTとは異なり軟部組織を画像化することが出来ます。

そのため、MRIでは筋組織や軟部組織の状態に注目することが大切です。

理学療法を行っていく過程で筋委縮の程度や部位、筋肉内出血の程度・部位、血種などを把握し治療計画に反映させていきます。

また脊椎MRI画像では椎間版の膨隆や変性脊柱管・椎間孔の狭窄椎間関節水腫や関節周囲の骨嚢胞形成などがリハビリを行っていく過程で腰痛・下肢痛に関係してくることがあります。

そのため、画像にて異変を見逃さないようにし、症状が現れ、画像に異変を感じた場合はDrに報告しリハビリ内容を変更することを検討します。

まとめ

MRIは電磁波を照射し人体内の水素原子核の動きを同じ向きにします。

同じ向きになった水素原子核が電磁波を止めることで元に戻ろうとします。

その元に戻ろうとする動きの違いをキャッチしコンピューター処理し画像化します。

簡単に言えば、水素原子核が元に戻ろうとする動きを観測しますが、その動きをどのような視点で見ているのかでT1・T2強調像は分かれます。(1.静磁場に沿った方向の信号・2.静磁場に垂直な方向の信号)

MRI画像は単純X線やCTとは異なり軟部組織を画像化することが可能であり、筋組織や軟部組織の状態に注目することが大切です。

理学療法を行っていく過程で筋委縮の程度や部位、筋肉内出血の程度・部位、血種などの軟部祖期の変化を把握し治療計画に反映させていきます。

各疾患別で画像を読み方を知りたい方は別記事を参考にして下さい。

ここまで読んで頂きありがとうございました。