【リハに役立つ!!】筋損傷の回復の過程まとめ

【医療者向け】基礎

過度な運動を行った後に遅発性筋肉痛(DOMS)とは筋損傷によって生じたものであり、外傷により生じた組織損傷の回復過程とは異なる過程を経て治癒していきます。

筋線維の壊死

筋の損傷により筋細胞膜が破損すると膜透過性に変化が生じます。

その結果、Ca²⁺が筋線維内に流入し筋細胞内のCa²⁺濃度が上昇します。

Ca²⁺は筋収縮を行うきっかけを作るためのものであり、本来ならば神経伝達や化学伝達物質の過程を得て細胞内の濃度が上がりますが細胞膜損傷によって過剰にCa²⁺濃度が上昇した状態では筋線維は過剰に収縮した状態となります。

Ca²⁺濃度が過剰に上昇した筋線維ではカルパイン(Ca²⁺濃度依存性のタンパク質分解酵素)が活性化し、タンパク質の融解・断片化が始まることで筋線維は壊死を起こします。

しかし、カルパインは筋線維全体を壊死に至らすわけではありません。(筋線維は多核細胞であり生命力が強いため)

筋損傷が一部の部分的な壊死である場合は大きな出血・損傷直後の痛みは感じられません。

しかし、カルパインにより筋繊維の壊死が発生した1~2日後には好中球やマクロファージが浸透し、炎症反応がピークを迎えます。

炎症反応が遅れてやってくることもあり、遅発性筋肉痛は遅れてやってきます

 

筋損傷の程度が大きい場合は筋壊死だけでなく、その周囲の筋膜などにも損傷が及び出血がみられます。

このように損傷範程度が大きく、筋線維だけにとどまらない場合は肉離れと呼ばれる損傷になり、筋線維の壊死・再生に加えて、筋膜の修復過程も伴います。

筋線維の再生

筋線維に壊死が生じた場合は、筋衛星細胞が活性化することで筋線維の再生が始まります。

筋衛星細胞はマクロファージの貪食が終わる前(筋線維の壊死が発生した1日後)に活性化し始め、筋芽細胞に分化して増殖を繰り返します。

筋芽細胞が増殖していくと、筋芽細胞同士が融合し始め筋管細胞へと分化していきます。

筋管細胞は壊死した筋線維の両端をつなぐように融合し、筋線維は再生します。

また、筋管細胞が成長して新しい筋線維となり、筋線維数が増加することがあります。

これが筋肉痛後の筋線維増大のメカニズムとなります。

まとめ

筋線維の損傷からの回復過程は多くの組織損傷とは異なる過程をたどります。

【筋損傷の回復過程まとめ】
1.筋損傷により筋膜透過性の変化
2.Ca²⁺が筋線維内に流入し筋細胞内のCa²⁺濃度が上昇
3.カルパイン(Ca²⁺濃度依存性のタンパク質分解酵素)が活性化し、タンパク質の融解・断片化が始まる
4.筋衛星細胞が活性化し始め、筋芽細胞に分化して増殖
5.筋芽細胞が増殖していくと、筋芽細胞同士が融合し始め筋管細胞へと分化
6.筋管細胞は壊死した筋線維の両端をつなぐように融合し、筋線維は再生

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。