【ペリーが伝える】脳卒中後患者の歩行速度と日常生活範囲の関係性

【医療者向け】歩行

リハビリ業界のペリーと言えば、歩行に関することで非常に有名な方です。

歩行に関することで有名なペリーですが、ペリーらが1995年の脳卒中後患者の歩行速度と日常生活範囲の自立度に関する報告をしています。

この報告されたデータを元に臨床で歩行能力の評価が頻繁に使用されており、治療の考え方にも非常に役立つと思われます。

かなり古い報告なのでみんな当たり前に知っているかと思いますが、知らない方にとっては良い情報だと思いますのでぜひ読んでみてください。

脳卒中後の生活範囲の狭小化と歩行速度

脳卒中後において大きな問題のひとつにとして、生活範囲が狭小化してしまうことがあります。

脳卒中後の症状によって歩くことが困難になると、その重症度によって外出することが難しくなり、生活する範囲が狭くなってしまいます。

自由な外出が難しくなると在宅で過ごす時間が多くなり、筋力・体力が低下し、さらに外出が困難になるという悪循環が生じてしまいます。

1995年にペリーらは、脳卒中後の患者における自宅内や地域の歩行能力を予測する指標について検討しました

その結果、歩行の自立度と最も関係性が高いのは歩行速度ということが分かっています。

歩行速度を出す為にはストライドとケイデンスを上げる必要がありますが、歩行のバイオメカニクス的な視点からどちらも筋力やバランス感覚が必要不可欠ということからも想像しやすいと思います。

 

ペリーらの歩行速度と日常生活動作範囲

※Fig.1:Perry J, 1995より引用改変(上図)

上図からある程度不自由なく外出できるようになるためには、12.5m/秒の歩行速度が必要だということです。

つまり、10m歩行が8秒以内になることを目標にすると良い指標になるかと思います。

このように脳卒中後において外出できる歩行能力の指標に歩行速度が重要であることが認知され、歩行障害に対する多くの介入研究の指標として選択されるようになりました

 

Schmidらの歩行速度と外出状況とQOL

ロードらは歩行速度の改善外出状況QOLの変化との関係は必ずしも一致しないものであるとして、歩行速度という単一な指標ではなく、外出の状況を個々に調査する自己報告(self-report)が臨床的に意味があるとしました。

その後、Schmidらは脳卒中後患者を対象に以下の研究を行っています。

対象となる脳卒中患者を10m歩行速度によって3つに分けました。

・屋内歩行レベル(0.4m/s未満)

・外出がやや困難なレベル(0.4-0.8m/s)

・外出可能なレベル(0.8m/s以上)

その後、3ヶ月間の歩行練習を行い、歩行速度の改善度と外出状況・QOLとの関係を調査しました。

その結果、屋内歩行レベル外出がやや困難なレベルの歩行速度の改善は、外出の範囲が広くなりQOLが上がったという報告があがっています。

特に屋内レベルの歩行速度の改善は、外出の頻度を増加させ、QOLを高めることがわかりました。

このことから、歩行速度の改善は外出範囲と頻度に影響し、QOL向上に寄与するということです。

 

まとめ

脳卒中後患者の歩行能力を表す指標は歩行速度です。

歩行速度を上げるにはストライド・ケイデンスを上げる必要があり、筋力・感覚・協調性・バランス能力などの色々な機能が必要不可欠です。

歩行速度は外出範囲と頻度、そしてQOLに影響を与えます。

そのため、脳卒中後患者において歩行速度を必要なラインまで上げるということには意味があると思われます。

しかし、歩行速度だけが歩行能力・歩行自立度に関係するものではなく、当然ながら認知や高次脳機能障害(特に半側空間無視など)など他の内面的な要素や住宅周囲の環境(人的・物的など)の外的要因も関わってきます。

歩行速度1つに視野を狭くしすぎないように注意は必要です。

ここまで読んで頂きありがとうございました。

参考文献

Perry J et al. : Classification of walking handicap in the stroke population. Stroke.1995; 26(6) :982-989.
Lord SE, Rochester L. Measurement of community ambulation after stroke: current status and future developments. Stroke. 2005; 36: 1457–1461.
Schmid A, Duncan PW, Studenski S, Lai SM, Richards L, Perera S, Samuel SW.Improvements in speed-based gait classifications are meaningful. Stroke.2007; 38: 2096–2100.