【リハに役立つ】血液検査の解釈:コレステロール編

【医療者向け】血液・尿検査

リハビリを行っていく上で部分的な評価だけでなく、理学療法以外でも全体的な評価は欠かせません。

全体的な評価の1つとして血液データの解釈は欠かせません!

ここではまずコレステロールの解釈についてお伝えしていきます。

総コレステロール・LDLコレステロール

総コレステロールは血液中の重要な脂肪であり、細胞膜や血管壁を構成し、副腎皮質ホルモン性ホルモンを合成する材料にもなります。

また、ビタミンDの生成を助け、食物の消化・吸収に不可欠な胆汁酸の原料にもなります。

コレステロールは多すぎても少なすぎても身体に悪影響を及ぼし、中性脂肪(TG)HDLコレステロールなどの数値も参考にして評価を行います。

コレステロールは体外から取り入れるもの(食事)体内で生成するもの(主に肝臓)に分かれ、食事で1/3体内で2/3を生成すると言われています。

LDLコレステロールは肝臓から全身の細胞にコレステロールを届ける役割を果たしていますが、細胞に必要以上にコレステロロールが増えていくと、残った分は動脈の壁に次々と入り込み、動脈硬化を引き起こします。

総コレステロール・LDLコレステロールの基準値

LDLコレステロールが高値の時

症状 脂質異常症の身体所見(アキレス腱肥厚・眼瞼黄色腫・角膜輪)
動脈硬化症と考えられる症状(狭心症・間欠性跛行)など
病態 コレステロールの合成と異化の異常によりLDL-コレステロール高値となります。
原因・影響因子 遺伝子異常(家族性コレステロール血症・家族性欠陥アポ蛋白B血症・家族性Ⅲ型高脂血症)
ネフローゼ症候群〔肝臓での超低密度リポ蛋白(VLDL)の合成亢進〕
食事によるコレステロールの過剰摂取
胆道を介した胆汁酸の排泄障害(閉塞性黄疸)
様々なホルモン異常

動脈硬化性疾患をもっているかを確認します。

特に虚血性心疾患は運動療法を行う上で重大なリスクとなります。既往歴に心疾患の有無や運動療法中の動悸・息切れ・過剰な疲労感・胸痛などの自覚症状の有無を確認しておきます。

脂質異常症の身体所見の有無を確認します。(特に眼瞼黄色腫角膜輪は患者と対面するだけで観察できます)

※眼瞼王職腫:まぶたの目頭近くにできる、少し黄色い扁平に腫れた皮膚腫瘍

※角膜輪:老人環といわれるのと同じような瞳一番に白い線が出る

LDLコレステロールが低値の時

症状 なし
病態 コレステロール合成の低下によりLDL-コレステロール低値
異化の亢進によりLDL-コレステロール低値
原因・影響因子 甲状腺機能亢進症
肝疾患
溶血性貧血
骨髄増殖性疾患

原因疾患の有無を確認します。

原因疾患による影響が考えられない場合、食事による影響も考えられるため、食事量が少ないかを確認します。

 

HDLコレステロール

コレステロールはそのままでは血液に溶けない為、特殊な蛋白がくっついた「リポ蛋白」という形で体内をめぐっており、HDLコレステロールは血液中の余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割をしています。

血液中にコレステロールが残り、動脈硬化につばながることを抑えているわけです。

 

HDLコレステロールの基準値

HDLコレステロールが高値のとき

症状 なし
病態 コレステロール合成の低下によりHDLコレステロール高値となる
異化の亢進によりHDLコレステロール高値となる
原因・影響因子 コレステロールエステル転送蛋白(CETP)欠損症
肝性リパーゼ欠損症
長期多量飲酒など

CETP欠損症肝性リパーゼ欠損症があるのか確認します。

飲酒により検査値は左右されるため、飲酒の量頻度を聴取することも大切です。

HDLコレステロールが低値のとき

症状 動脈硬化症と考えられる症状(狭心痛や間欠性跛行)
病態 末梢細胞に蓄積したコレステロール異化作用が低下することでHDLコレステロール低値
原因・影響因子 喫煙
運動不足
肥満
高糖質食など

喫煙運動不足の程度によってはHDLコレステロール低値となる原因となるため、食生活・生活習慣を聴取します。

食生活では特に多価不飽和脂肪酸・糖質の多い食事でHDLコレステロールは低下します。

HDLコレステロールの管理目標値は40mg/dL以上とされており、40mg/dL未満は低HDLコレステロール血症とされます。

 

中性脂肪(TG)

食事で摂取した糖質や脂質をエネルギー源として使いきれない場合、中性脂肪として体内に蓄えられます。

また、余った蛋白質も体内で糖質に変えられ、中性脂肪として蓄えられると言われています。

中性脂肪は糖質の不足を補い、身体を動かすエネルギー源となります。

また中性脂肪は皮下脂肪にもなり、体温を保持したり、内臓を外部からの衝撃から守る働きもあります。

中性脂肪の異常値は動脈硬化症膵炎の危険因子となります。

中性脂肪(TG)の基準値

中性脂肪(TG)が高値のとき

症状 動脈硬化症と考えられる症状(狭心痛や間欠性跛行)
激烈な腹痛(急性膵炎)
病態 脂肪の分解が障害されることでTG高値となります
肝でのTG合成が亢進されることでTG高値となります
原因・影響因子 アポ蛋白Eに異常がある疾患(家族性Ⅲ型高脂血症・アポ蛋白E欠損症)
脂肪肝
糖尿病
糖質過剰摂取
過度の飲酒
妊娠

高脂肪食・高カロリー食・アルコール多飲などがあった場合は高値となるので、食生活の習慣を聴取します。

また、食後高値となるため、食事時間と測定時間を聴取し食事採血時間を考慮します。

中性脂肪の管理目標値は150mg/dL未満とされており、150mg/dL以上で高トリグリセライド血症とされます。

中性脂肪(TG)が低値のとき

症状 なし
病態 アポ蛋白Bの合成が障害されることでTG低値となります
超低比重リポ蛋白(VLDL)やカイロミクロン(CM)の減少によりTG低値となります
原因・影響因子 低βリポ蛋白血症
無βリポ蛋白血症

リハビリプログラム

脂質(コレステロール)の数値によりリハが禁忌となることは基本的にありません。

動脈硬化症のおそれがあるため、安静時痛や壊疽・虚血性潰瘍のある慢性末梢動脈閉塞性症がないかを確認します。

現在疾患に羅漢していない場合であっても脂質の異常値がみられる場合は、循環器系に重点を置いた評価を行ってから運動を行います。

脂質の消費に重点を置いた場合、食直後の運動は避け、食前または食後2時間以降に行うようにリハ時間を調整します。

しかし、糖尿病患者の場合は血糖値にも注意が必要であり、低血糖症状の生じない時間帯で行う必要があります。

参考書籍

血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫リハビリの進捗を予測することが出来ます。

血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!

検査項目別・疾患別で記載してあるので、ぜひ参考にしてみて下さい!!

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