リハビリを行っていく上で部分的な評価だけでなく、理学療法以外でも全体的な評価は欠かせません。
全体的な評価の1つとして血液データの解釈はリハビリプログラムを構成する上で大切な要素になっています。
ここではまずAlb(アルブミン)・TP(血清総蛋白)の解釈についてお伝えしていきます。
Alb(アルブミン)・TP(血清総蛋白)
アルブミンとは約600個のアミノ酸からできた比較的小さな蛋白質です。
アルブミンは血漿タンパクのうち約60%を占めており、血漿タンパクのなかで最も量が多い蛋白質です。
アルブミンは成人の場合ではアミノ酸を原料とし肝臓で一日に約6~12g生成され、血液中を流れます。
体重1㎏あたり4~5gが体内に貯蔵されており、その内約40%を血管内、約60%を細胞や組織間液中に分布しています。
このアルブミンのバランスが崩れると血管内の血液量が少なくなったり、腹水や浮腫といった細胞・組織間液中に水分がたまってしまいます。
血清総蛋白(TP)は血液中のたんぱく質の濃度を示したものです。
血清総蛋白の約60%はアルブミン、約30%はグロブリンとなっています。
グロブリンはIgGやIgMなどの抗体に代表される免疫グロブリンが主な蛋白で、種々の炎症で増加します。
その為、血清総蛋白は栄養状態と炎症指標の和として捉えることが出来ます。
Alb(アルブミン)・TP(血清総蛋白)の基準値
Alb(アルブミン)・TP(血清総蛋白)が高値の時
症状 | 脱水症状 |
病態 | 脱水 |
原因・影響因子 | 水分摂取量の低下 |
Alb(アルブミン)・TP(血清総蛋白)が低値の時
症状 | 体重減少 病態によっては浮腫・腹水 |
病態 | 肝臓でAlbの産生が低下 蛋白質の分解が亢進 |
原因・影響因子 | 肝硬変・劇症肝炎・腎機能低下 炎症性疾患 手術後の炎症反応 |
脳卒中患者などでは食事を摂取困難な場合があるため、嚥下機能を多職種で評価し、経口摂取の際は良肢位で行えるように介入します。
食事内容では、食事摂取量・カロリーなどを評価します。
摂取不足の場合は、Dr・管理栄養士と相談する必要があります。
BMI(=体重kg/身長m/身長m)22以下の体重・短期間での体重減少の有無を確認します。
四肢周径や体組成計で骨格筋量の低下をの有無を評価します。
浮腫・腹水の有無による褥瘡・消化器症状(ex腸蠕動低下など)を確認します。
Albは食事摂取量の低下などによる低栄養で低下しますが、CRPの上昇や炎症にともなって分解されるため、Albは低下します。
運動器などの術後で炎症反応が強い場合はAlbのみで評価せず、炎症反応(熱感・腫脹・発赤・疼痛)や実際の食事量など総合的に評価します。
リハプログラム
AlbやTPの数値が低い時は、運動療法が過負荷にならないように運動負荷量を調整するべきです。
また、強い負荷の筋力強化運動を行っても筋力増強はあまり期待出来ないため、リハビリプログラムを工夫する必要があります。
身体機能向上訓練を主体とするのではなく、身体機能向上を期待しすぎずに動作練習を主体とし現状の身体機能でも動作が行えるように介入していく方法が1つの方法だと思われます。
栄養状態が悪く離床困難な場合は、セラピストは褥瘡が出来ないようにベッド環境を調整することが大切です。
栄養状態を…
・食事摂取量
・体重(BMIなど)、四肢周径
・治療の流れ臓器の状態
・身体所見(腹水や浮腫など)
・他血液数値からの多臓器機能状態
・炎症反応など
総合的に評価しリハビリプログラムを工夫していきましょう。
参考書籍
血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫やリハビリの進捗を予測することが出来ます。
血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!
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