【リハに役立つ】血液検査の解釈:ALT・AST編

【医療者向け】血液・尿検査

リハビリを行っていく上で部分的な評価だけでなく、理学療法以外でも全体的な評価は欠かせません。

全体的な評価の1つとして血液データの解釈は欠かせません!

ここではまずALT・AST(トランスアミナーゼ)の解釈についてお伝えしていきます。

ALT・AST(トランスアミナーゼ)

ALT・ASTはどちらもトランスアミラーゼとよばれる酵素であり、人体に必要な構成要素であるアミノ酸を作る働きをします。

トランスアミラーゼは肝細胞中に多く存在しているため、主に肝細胞障害で血中に逸脱し酵素活性が上昇します。

そのため、肝機能検査と呼ばれ、広く使用されていますが、肝機能ではなく肝細胞の障害を示唆している点に注意が必要です。

ALT・ASTの違いとして、ALTは主に肝臓に存在しますが、ASTは肝臓だけでなく心筋や骨格筋、赤血球などに広く存在します。

AST・ALTが共に高値を示す場合、又はALTが単独で高値を示す場合は肝細胞障害の可能性が高くなります。

反対にASTのみ圧倒的に高値を示す場合は心筋梗塞筋疾患溶血性貧血など肝臓以外の病態が考えられます。

また、ASTは採決時の溶血により赤血球中より逸脱し偽高値を示し、高強度の運動でも骨格筋より逸脱し高値となることが考えられます。

ALT・ASTの基準値

ALT・ASTが高値の時

症状 虚血性心疾患症状(30分以上続く胸痛、絞扼感、前胸部・肋骨下・左上腕・頸部にかけて放散痛)

黄疸・腹水

有痛性筋痙攣

嘔気・嘔吐

倦怠感・易疲労感

病態 臓器・組織が障害を受けた際に、細胞の破壊や膜の透過性が亢進するのにともない細胞内よりALT・ASTげ血中に逸脱し値が上昇する
原因・影響因子 肝細胞障害:劇症肝炎・ウイルス性肝炎・肝硬変・ショック肝・脂肪肝(アルコール性肝障害・高コレステロール食)

甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症)

心筋梗塞

筋ジストロフィー・多発性筋炎・多発性硬化症(MS)

・ALT、ASTが高値の場合は、肝機能障害を疑います。

●肝機能障害として…

有痛性筋痙攣が1日1回以上ある

・1日に2回以上の嘔吐、あるいは30分以上の嘔気が月に7日以上ある

・1日1時間以上の安静臥床を必要とするほどの強い倦怠感易疲労感が7日以上ある

●ショック肝として…ショックの改善とともにAST値の異常は急速に改善します

・ALTとASTとの比率が疾患相互の鑑別に有用です。ALT値に比べてAST値が有意に高値を示す場合(AST/ALT>1)はアルコール性肝障害、肝硬変、筋疾患、溶血を考えます。

肝硬変の症状(腹水・黄疸)がないか確認します。

心筋梗塞が疑われる場合はASTの他にCK・CK-MB・トロポニンTの値も確認します。

肝臓は加齢とともに体積重量・血液量が減少し、ALT・ASTが高値を示します。

また、ALT・ASTは薬剤の副作用により高値を示す場合があるため、処方内容や処方量を確認し変更されている場合は検査値を把握しておく必要があります。

肝機能障害疑う場合
・有痛性筋痙攣(1日1回以上)
・嘔吐(1日に2回以上)or嘔気(30分以上が月に7日以上ある)
・強い倦怠感・易疲労感
ショック肝:ASTが有意に向上(AST/ALT>1)
アルコール性肝障害・筋疾患・溶血・肝硬変(腹水・黄疸)
心筋梗塞(CK・CK-MB・トロポニンTを確認)
加齢
体積重量・血液量が減少しAST・ALTが高値を示す
薬剤の副作用により高値を示す場合がある

ALT・ASTが低値の時

症状 特に症状がないのが基本
病態 蛋白質の摂取が少ないと、AST酵素を産生できなくなる
原因・影響因子 尿毒症

糖尿病性ケトアシドーシス

低蛋白食(低栄養)

蛋白同化ホルモン

妊娠

甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症)

ALT・ASTが低値の場合、甲状腺疾患が疑われます。

甲状腺に関する検査であるFT₄・FT₃・TSHを確認し、高値そ示していた場合は過負荷を避け易疲労感には十分注意します。

甲状腺疾患では甲状腺機能亢進症・機能低下症と共にCKの値も異常がみられるため注意します。

甲状腺疾患が疑われる場合は、筋力低下・発汗・振戦・易疲労感を確認します。

ただし、食事量・蛋白摂取量が少ないと低値を示すため、検査目の食事内容や食事量を把握しておくことも大切です。

リハプログラム

●以下に当てはまる時はリハビリは禁忌となります。

1:ALT・ASTの値が200IU/L以上に急上昇

2:肝炎の活動性が高い時期、脳症、腹水

3:未治療の食道静脈瘤があり、易出血性の所見(F2・RCサイン陽性)

最高酸素摂取量が70~75%となる運動強度では血中のアンモニア濃度が増加します。

肝機能障害がある場合はアンモニアの解毒が困難となるので、最高酸素摂取量が50~60%となる強度までとします。

リハビリの注意点

脂肪肝の場合には運動療法の重要性が高いです。

慢性肝炎肝線維症、進行していない肝硬変では、有酸素運動により肝機能の悪化やほかの身体的な問題が

生じることはないといわれています。

肝硬変患者では以下の副作用に注意します。

・運動強度が高いと門脈圧の上昇による食道静脈瘤の出血の危険性が増加

・腎血流量が減少し腹水が増加する

参考書籍

血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫リハビリの進捗を予測することが出来ます。

血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!

検査項目別・疾患別で記載してあるので、ぜひ参考にしてみて下さい!!

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