【PTが伝える】血液検査の見方:PT-INR・D-ダイマー

【医療者向け】血液・尿検査

リハビリを行っていく上で部分的な評価だけでなく、理学療法以外でも全体的な評価は欠かせません。

全体的な評価の1つとして血液データの解釈は欠かせません!

ここではまず【凝固系】:APTT・PT-INR、【線溶系】FDP・D-ダイマーの解釈についてお伝えしていきます。

【凝固系】APTT・PT-INR

プロトンビン時間:PTは、血液凝固因子と呼ばれる血液を固める作用を持つたんぱく質に関連した検査値です。

血液凝固因子は約13種類ありますが、そのほとんどは肝臓で作られます。

つまり、肝機能障害により肝機能が低下すると血液が固まる時間がかかるようになります。

プロトンビンは血液凝固因子の第Ⅱ因子であり、トロンボプラスチンという物質を加えると固まるようになります。

そこで血漿にトロンボプラスチンを加えて、固まるまでの時間を測定したものがプロトンビン:PTです

凝固系が働いて血液が凝固するまでの時間(プロトロンビン時間:PT)は試薬によって測定値にばらつきが生じやすいです。

国際標準比で補正したPT-INRが指標として用いられ、ワルファリンの効果判定の指標となります。

活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は、異物に接することで血液が凝固する機序を再現した検査です。

ヘパリンの効果判定として利用されています。

APTT・Pt-INRの基準値

 

APTT・PT-INRが高値の時

症状 出血傾向
病態 凝固因子の産生が抑制される
原因・影響因子 ワルファリンの過剰投与
脱水
ビタミンK欠乏症

出血症状(特に内出血)を確認し、認められた場合は出血を助長することとなるため過度な運動は控えた方が良いです。

食事上行を確認したうえで不足していれば医師の指示によりビタミンKを補充することもあります。

肝機能障害によっても凝固系が高値となるので、肝機能の指標としてAST・ALTを確認します。

APTT・PT-INRが低値の時

症状 血栓形成
病態 凝固因子の産生が亢進する
原因・影響因子 ワルファリン投与不足
ビタミンK過剰摂取

●ワルファリンの内服状況を確認

・飲み忘れを確認します

・晩酌をする人は服用するタイミングを夜から朝に変更します(飲酒後は7時間以上あけます)

 

●食事状況を確認

・ワルファリンの効果が低下するため、ビタミンKが豊富に含まれる食品は禁忌となります。

・絶対に摂取してはいけない食品は、納豆・クロレラ・青汁です。サプリにもクロレラが含まれている可能性があるので注意します。

・緑黄色野菜や海藻類は多少であれば摂取してもよいので、便秘にならない程度にします。

 

リハプログラム

PT-INR高値(3.0以上)出血傾向の場合にはリハビリを中止します。

出血、血栓形成に伴う上記症状に注意します。

 

FDP・D-ダイマー

FDPとはフィブリンがプラスミンという酵素で分解された産物であり、D-ダイマーはFDPがさらにプラスミンに分解されて出来る分解産物です。

より詳しくみていくと…

傷口は血栓によって応急処置的に止血されますが、この血栓は組織の回復の為には溶解しないといけません。

プラスミンが血液凝固因子であるフィブリノゲンフィブリンを溶解します。

この現象を線溶現象といい、フィブリノゲンやフィブリンが分解される物質がFDPです。

このFDPがさらにプラスミンによって分解されD-ダイマーとE企画とになります。

 

FDP・D-ダイマーの基準値

 

FDP・D-ダイマーが高値の場合

症状 下肢の静脈血栓

播種性血管内凝固症候群(DIC)

病態 血栓形成により線溶系が亢進する
原因・影響因子 術後の安静臥床、活動量低下

下肢静脈血栓(DVT)の評価として下肢浮腫Homans signを確認します。

新規発症していれば、離床せずDrの指示に従います。

DVTにより肺塞栓症が生じた場合、ショック状態となるのでリハビリ中であれば救急措置が必要になり、FDP・D-ダイマー高値とは限りなくリスクの高い状態です。

※Homans sign:膝伸展位で足関節底背屈他動運動時や圧迫による下腿三頭筋痛

 

リハプログラム

FDP・D-ダイマーが高値であり、下腿浮腫・Homans signを認める場合血栓溶解として薬物療法を行うことが基本であり、離床を避けるべき状態です。

離床し肺塞栓の発症はリハビリの禁忌となります。

解離性大動脈瘤では、FDP40ug/mL未満で短期リハコース、FDP40ug/mL以上で標準コースとなり、離床プログラムが変わります。

 

その他の注意点

高齢者は食事状況脱水に注意します。

心臓外科手術後PT-INRを2.0前後でコントロールします。Pt-INRは血液凝固薬のコントロールで使用します。

DVTや肺塞栓症では血栓を溶解するために線溶系のD-ダイマーが上昇するが、病態・病気によって上昇しない場合もあるので血液検査の数値だけでなく統合的に判断します。

播種性血管内凝固症候群(DIC)は通常出血にともない生じる血液凝固が全身の血管内で生じる重篤な症候群です。

DICは血小板・PT-INR・FDPなどの測定値をもとに点数付けされ診断されます。

参考書籍

血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫リハビリの進捗を予測することが出来ます。

血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!

検査項目別・疾患別で記載してあるので、ぜひ参考にしてみて下さい!!

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