リハビリを進めていく上で理学療法評価だけでなく、理学療法以外の全身の評価は欠かせません。
全体的な評価の中でも血液検査の数値はリハビリのリスクや効果判定を把握する為にも、評価は欠かせません。
脳出血・脳梗塞患者のリハビリを進めるに当たって注意すべき要点をここでお伝えしていきます。
脳梗塞・脳出血の血液データの特徴
よく検査される検査
・脳卒中患者は肺炎や尿路感染などの合併症を生じやすく、炎症性マーカー(CRP・WBCetc)が高値になります。
・消化管出血はHb(ヘモグロビン)・Ht(ヘマトクリット値)・RBC(赤血球)・PLT(血小板)が高値になり、WBC(白血球)は低値となります。
・脳梗塞の発症によりワルファリンなどの抗凝固薬を服用しているとPt-INR・APTTが高値となり出血傾向があります。
・血管内に血栓が形成されると血栓を溶解しようとD-ダイマー・FDPが高値になります。
薬物療法
左房内血栓や深部静脈血栓(DVT)などでは、ヘパリン・ワルファリンなどの抗凝固薬を用いることが多く、その為の血栓症にはアスピリンなどの抗血小板薬を服用することが多いとイメージをもって頂けたら理解しやすいと思います。
脳出血にはCa拮抗性降圧剤(ニカルジピン塩酸塩など)といった降圧剤を服用することが一般的です。
リハ中に特に気を付ける検査値
CRP・WBC
炎症反応の経過を把握し、熱発などの症状と検査所見に応じてリハを検討していく!
Hb・PT-INR・APTT
消化管の出血や抗凝固薬による出血傾向がある場合は、Hb↘・PT-INR↗・APTT延長といった、出血に伴う貧血の有無と出血リスクを確認する
D-ダイマー
下肢の麻痺は深部静脈血栓(DVT)のリスクを高めます。場合によってはDVTの発生により肺塞栓症に繋がる可能性もあります。
症状別:血液の検査値確認
「だるい・「食欲がない」
【CRPの数値を確認】
意識障害による喀痰が出来ないこと、臥床時間の増加による分泌物の貯留、嚥下障害による誤嚥などにより肺炎のリスクが増加します。
また、尿道カテーテルなどによりカテーテルから尿路感染につながる可能性もある為、CRPと尿混濁も確認することが大切です。
「疲れやすい」・「動悸、息切れがする」
【Hb・PT-INRの数値を確認】
<Hbが低値>or<PT-INRが高値>の場合、消化管出血の可能性を考慮し黒色便になっていないか確認!
HbやHt・RBCが低値となっている場合、酸素運搬能力が低下するため、身体は無酸素運動になりやすく乳酸が溜まることで疲労感が出やすくなります。
また、酸素運搬能力低下を補おうと循環血液量が増加したり、心収縮力が増加することで高血圧に移行しやすいのでバイタルの変動に注意が必要です。
「足が痛い」・「足が浮腫んでいる」
【D-ダイマーの数値を確認】
深部静脈血栓症(DVT)では、腫脹・浮腫・圧痛などの症状が出ることがありますが、無症状である場合も多いので外観や主観的な症状だけは評価が十分とは言えず、注意が必要です。
「足が細くなった・「力が入りづらい」
【Albの数値を確認】
低栄養状態で高負荷の運動療法は、筋を融解してエネルギーを産生しようとする反応が出る為、筋肉量減少を引き起こす可能性があります。
Albは半減期が14~21日と長く、直前の栄養状態を示すものではなく体重の増減や筋肉量(周径)、浮腫(圧痕性浮腫/fast)の所見を合わせて評価を行うべきです。
参考書籍
血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫やリハビリの進捗を予測することが出来ます。
血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!
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