【PTが伝える!】大腿骨転子部骨折の画像の見方

【医療者向け】画像

大腿骨転子部骨折は下肢骨折の中でも1位・2位を争うほどよくみかける症例です。

大腿骨転子部骨折に対して治療を進めていく上で画像所見の評価は欠かせません。

ここでは大腿骨転子部骨折の画像の見方をお伝えしていきます。

EVANSの分類

下図:【大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン (改訂第2版)から引用】

大腿骨転子部骨折は大きく【安定型】と【不安定型】に分かれます。

安定型と不安定型では歩行などの予後に異なりが生じ、予後予測において転子部骨折の評価に画像所見は欠かせません。

EVANSの分類は大腿骨転子部骨折を受傷時の内側皮質骨の損傷程度整復後の難易度を示したものです。

EVANSの分類は【Type1】と【Type2】に分かれますがType2は不安定型となります。

Type1・Type2の違いとは…
Type1:骨折線が小転子から大転子に認めるものType2:骨折線が小転子から遠位外側に認めるもの
Type1はさらに4つのグループに分かれ、
グループ1・2は【安定型グループ3・4は【不安定型となります。
グループ1:転移なし、内側皮質が温存
グループ2:転移あり、しかし整復可能
グループ3:転移あり、整復は困難
グループ4:転移あり、粉砕あり、内反位

大腿骨転子部骨折の治療方法

大腿骨転子部骨折の主な治療方法は骨接合術でCHSγネイルによる固定方法が行われます。

EVANSの分類から安定型である場合、術後の固定性が良好であれば翌日より荷重が可能になることが多いです。

しかし、受傷時にEVANSの分類から不安定型であり、固定性が弱い場合は荷重が遅れてしまうことが多く慎重に荷重訓練を進めていく必要があります。

画像の見方

上図は大腿骨転子部骨折であり、小転子から大転子にかけて骨折線があるためEVANSの分類ではType1になります。

やや内反位に転移しているようですが、EVANSの分類で見てみると明らかな転移は無いのでType1の安定型骨折と言えます。

上図では、頚体角は正常範囲内で固定されています。

また、γネイルを支える大腿骨の皮質骨をみてみると厚みがしっかりあり、安定していることが分かります。

【チェックリスト】
・整復、固定方法:CHSやγネイルなど
・仮骨形成:骨の連続性(仮骨部分:うっすらと白く見える)
・異常な転移:転移が残存していないのか
・頚体角
・患側側の皮質骨:

CHSの特徴

CHS:大腿骨外側でプレートを用いて固定し、骨頭の固定をラグスクリューで行う方法

CHS:利点

・受傷時の状態では比較的安定型に適しており、手術侵襲が少ない。

荷重を加えることで、ラグスクリューによるスライディング機構で骨折部の骨癒合の促進が期待できる。

CHS:欠点

ラグスクリューの位置が不良であると骨頭の変形やカットアウトが生じる可能性がある。

骨粗鬆症などがあると、固定側のプレート周辺で骨折するリスクがある。

γネイルの特徴

γネイル:大腿骨遠位側を髄内釘で固定し、骨頭の固定をラグスクリューを用いて行う方法

γネイル:利点

安定型・不安定型の両方に適応がある

ラグスクリューによるスライディング機構による骨折部の骨癒合促進が期待できる

固定力が強固

γネイル:欠点

ラグスクリューの位置が不良であると骨頭の変形やカットアウトが生じる可能性がある。

画像からリスクを考える

γネイルは主流な固定方法であり、術創部が小さく、疼痛が少ないので早期から荷重が行いやすく、術による筋力低下も最小限に出来る強みがあります。

しかし、髄内釘を挿入した大転子周辺・スクリューを挿入した部位に筋痛が生じやすくなります。

また、CHSやγネイルはテレスコーピングという機構によって骨折部分の安定化を図ります。

テレスコーピングとは、荷重を加えると‘’大腿骨頭へ向かっている固定金属‘’と‘’大腿骨長軸方向に向かっている固定金属‘’の接続部分でスライディング機構が生じます。

このスライディング機構は荷重に伴う骨折部分の短縮に伴い、‘’‘大腿骨頭へ向かっている固定金属’が遠位へ移動し近位骨片と遠位骨片がかみ合ったところで安定します。

しかし、頸体角が不十分になっていると荷重を加えた際に、Cut Out(カットアウト)といい下図のように金属部分が骨を突き破ってしまう可能性があります。

頸体角が健足側と比較し不十分な場合、荷重によるカットアウトに注意が必要です。

理学療法

理学療法のポイントは大腿骨転子部骨折が【安定型】・【不安定型】のどちらなのかをふまえたうえで可動域運動・筋力強化運動・荷重訓練・歩行訓練を行っていくことです。

大転子・小転子・粉砕型(Type1・グループ4)は、荷重時期・筋肉の付着部に関するトレーニングの抵抗負荷やストレッチはDrと相談し慎重に行っていくことが大切です。

大腿骨転子部骨折の術後は創部痛の訴えが多く、荷重歩行が進むにつれて大腿外側の横止めスクリューに位置する大腿筋膜張筋外側広筋で疼痛が生じることも少なくはありません。

術後の皮下出血が存在していた部分は柔軟性が低下する為、物理療法や可動域訓練・リラクセーションなどを併用しながら、活動・収縮しやすい筋にすることも大切なポイントです。

参考書籍

今回は下の書籍を参考大腿骨転子部骨折の画像の見方をお伝えしました。

下の書籍は運動器画像の見方とリハビリで意識する点などが詳しく書かれておりおススメの書籍です。

運動器の画像の見方が分からない新人理学療法士には特に一度読んで欲しい書籍です。

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ここまで読んで頂きありがとうございました。