【医療者向け】理学療法士が教える虚血で筋緊張が亢進する理由とは?

【医療者向け】痛み

筋緊張の過度な亢進は疼痛や関節可動域制限を生じさせ、日常生活に影響が出てくることもあります。

筋緊張の過度な亢進の治療として、徒手療法ではリラクセーションやストレッチ、物理療法では温熱療法やバイブレーション(振動刺激)、時には寒冷療法を用いることがあると思います。

しかし、そもそも筋緊張の亢進が生じる理由はなんなのでしょうか?

筋緊張が亢進をする理由を知っておけば、治療の選択肢を絞ることが可能になり、よりBetterな治療が選択が出来るようになります。

ここでは、筋緊張の亢進についてお伝えしていきます。

筋緊張が亢進する原因・理由とは?

筋緊張が亢進してしまう原因を知る為には筋肉が収縮する仕組みを知っておくことが大切です。

筋肉が収縮するまでのメカニズム

1:脳から活動電位が中枢神経系として流れる
2:末梢神経の運動ニューロン末端まで到達し、骨格筋に入る。(運動ニューロンが個々に入る筋線維と接触するところを運動点といい、通常は筋線維の中間点に入る)
3:活動電位が運動ニューロンの末端に到達すると運動ニューロンは、アセチルコリン(神経伝達物質)を神経筋接合部にシナプス間隙に分泌する
4:アセチルコリンがシナプス間隙を漂い、筋線維の運動終盤に結合する
5:アセチルコリンが運動終盤に結合すると、筋線維上の活動電位が筋線維に外接するよう細胞膜に沿って移動する。この活動電位はT管(横行小管)を介して細胞膜の内部へ伝わる
6:活動電位が内部へ到達すると筋線維の筋小胞体がCa²⁺を筋細胞内に放出する
7:Ca²⁺がアクチンフィラメントに結合すると、アクチンフィラメントの結合部位がミオシン頭部に露出するように構造が変化する
8:ミオシンフィラメントの頭部がアクチンフィラメントの結合部位に結合して、ミオシンとアクチンの連結橋が形成される
9:連結橋が曲がり、アクチンフィラメントを筋節の中央へ引き込む
10:ATP(アデノシン三リン酸)存在しない場合…連結橋は動かずフィラメントの滑走はそれ以上動かない(収縮状態が維持されている)
10:ATP(アデノシン三リン酸)存在する場合ATP分子エネルギー消費により連結橋を破壊し、ミオシン頭部が次の結合部位でアクチンフィラメントに結合し、新し連結橋が形成される。この新しい連結橋が曲がり、アクチンフィラメントを筋節の中央へ引き込む。
11:ATPが存在する場合は、再び連結橋を破壊してCa²⁺が再びミオシン頭部を露出させてアクチンフィラメントに結合させる。新しい連結橋が曲がり、アクチンフィラメントを筋節の中央へ引き込む。(ATPが存在すると、10のステップを繰り返す)
2-1:活動電位が送られなくなると、アセチルコリンはシナプスに放出されなくなる。
存在していたアセチルコリンは壊され、運動ニューロンに再吸収される。
2-2:シナプス内にアセチルコリンが存在しないと、筋線維の内部に活動電位が送られないので、Ca²⁺は筋小胞体から放出されなくなる。
2-3:筋細胞内に存在していたCa²⁺ATP分子エネルギー消費によって筋小胞体に再吸収される。
2-4:Ca²⁺がなくなると、アクチンフィラメントの結合部位は露出されなくなるので、新しい連結橋は形成されなくなる。ATP消費エネルギーによって古い連結橋が切り離されれば、筋収縮は終息する。

※ここまでの物質の役割

アセチルコリン:運動ニューロン末端から活動電位を筋線維へ伝達する
    Ca²⁺:筋小胞体に存在し活動電位によりミオシンの頭部を露出させ、収縮出来る構造を作る
    ATP:連結橋を破壊し、筋弛緩又はさらに強い筋収縮を生み出す

ここからATPが枯渇すると…連結橋の破壊が出来なくなり、筋弛緩が出来ず筋収縮を持続してしまいます。

ATPが枯渇すると、筋緊張が亢進し続けてしまいます。

ATPが枯渇する理由とは…?

なぜ、筋細胞内のATPが枯渇するのでしょうか?

ATP不足の根本的原因は、筋肉自体の緊張によって影響を受けた筋節部内の虚血によって引き起こされます。

つまり、筋肉が収縮する時、内部の血管を圧迫して血流を抑制してしまいます。

これは約30%から最高約50%の筋収縮で、内部の動脈血流を遮断するには十分です。

動脈血流が遮断され続けると、局所の筋組織に血液が供給されなくなり、ATPを産生するミトコンドリアに栄養がいきわたらなくなります。

その為、錦秋収縮によりATPを消費するが、筋収縮によってATP産生を阻害されるのでATPが枯渇します。

これらが、筋収縮ー虚血の負のサイクルの引き金となってしまいます。

ここまでのまとめとして…
筋収縮が虚血を引き起こし、ATPが欠乏する。ATPが無ければ、筋組織は弛緩出来ないので収縮したままになる。その持続した収縮が動脈血流を遮断し虚血を引き起こす。

筋緊張は局所?or全体?

筋緊張が亢進している箇所が全体なのか?局所なのか?

しっかり把握しておくと治療の選択を行う時に役に立ちます。

全体で筋緊張亢進が起こっている場合…

筋伸展反射を仲介して中枢神経系のγ運動ニューロンから指令される筋緊張のパターンによって生じている可能性が高いです。

つまり、広範囲の筋緊張は中枢神経系の活動による緊張となる。

 

局所で筋緊張亢進が生じている場合…

局所で筋緊張亢進を認める場合は、亢進部位の虚血により亢進が生じている可能性が高いです。

治療の考え方

ここまで筋緊張が亢進する理由をお伝えしてきました。

筋緊張亢進が持続する理由は筋組織の虚血が原因となります。

つまり、虚血状態の筋組織の血流を促すことが治療のポイントになります。

局所の組織の血流を促す方法として、

・リラクセーション

・ストレッチ

・温熱療法

・寒冷療法

・振動刺激(バイブレーション)

・低負荷の運動

など様々な方法があります。

患者様の受け入れや全身状態、局所組織の状態で治療を選択していくことが大切です。

各治療のテクニックや方法などの詳細にについては別記事を作成しますので、そちらを参考にして下さい。

また、中枢神経系の中枢神経系のγ運動ニューロンから指令される筋緊張のパターンによって生じている場合は、Ⅰb神経の活動を促進するような治療を選択することがポイントになります。

治療方法としては…

・やや強度の強いスタティックストレッチ

・腱器官に対する振動刺激

などが挙げられます。

まとめ・参考書籍

ここまで筋緊張が亢進する原因をお伝えしてきました。

筋緊張が亢進する原因は、筋収縮による虚血が主な原因にあります。

組織の状態をしっかり見極める上で、知識や触診などの技術の向上は欠かせません。

別記事で詳細な治療・テクニックを紹介しますので、ぜひ参考にして下さい。

最後に…

ここまで記事を参照して頂きありがとうございます。

筆者としては図解を用いてより分かりやすく説明させて頂きたいのですが、図解を用いると著作権に引っ掛かる可能性があり使用出来ませんでした。

もし…

「もっと詳しく知りたい!」

「分かりやすく図解をみて勉強したい!」

という方に向けて以下に参考書籍を載せておきますので参考にして下さい。

筋骨格系の触診マニュアル トリガーポイント、関連痛パターンおよびストレッチを [ ジョセフ・E.マスコリーノ ]

 

筋骨格系の触診マニュアル トリガーポイント、関連痛パターンおよびストレッチを用いた治療 / 原タイトル:THE MUSCLE AND BONE PALPATION MANUAL with Trigger Points Referral Patterns and Stretching 原著第2版の翻訳[本/雑誌] / ジョセフ・E・マスコリーノ/著 丸山仁司/

 

コメント

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