【理学療法士が伝える】脳で感じる痛み:<痛みの認知>とは

【医療者向け】痛み

痛みの認知は頭頂連合野・前帯状回・島皮質・前頭前野などいった広い領域が関わっています。

痛みの認知をもっと詳しく把握する為に記事の前に一度痛みの知覚・情動の記事を参照してみてください。

【理学療法士が伝える】脳で感じる痛み:<痛みの知覚>とは
https://pt-riharoll.xyz/pt-pain-affective/
【理学療法士が伝える】脳で感じる痛み:<痛みの情動>とは
https://pt-riharoll.xyz/pt-pain-affective/

頭頂連合野

頭頂連合野は上頭頂小葉下頭頂小葉に分かれます。

上頭頂小葉

上頭頂小葉はブロードマンエリアでは5・7野に相当します。

ブロードマン3・1・2野でホモンクルスに沿った脳領域で体節ごとの体性感覚情報処理後を行い、その情報は上頭頂小葉に送られ、体部位の情報を統合し自己の身体姿勢図式を形成します。

下頭頂小葉

下頭頂小葉は39・40野に相当します。

視覚・体性感覚といった異なる感覚情報を統合します。(異種感覚情報)

 

頭頂連合野は痛み刺激と対応した身体の位置関係の認知痛みに対する注意に関与することが分かっています。

 

下頭頂小葉は視覚・体性感覚といった異なる感覚情報を統合していますが、視覚と体性感覚が一致しないと痛みが出現することが分かっています。

また不一致の際に、前頭前野が活性化することも分かっています。

視覚と体性感覚が不一致になる代表として身体失認・運動無視などの無視様症候群が挙げられます。

実際に慢性痛患者は無視様症候群を呈していることが明らかになっており、患肢を自己の身体と感じない認知無視や、視覚で過剰な注意を払いながらでないと患肢で運動が行えない運動無視などがあることが分かっています。

CRPS(複合性局所疼痛症候群)患者では痛みにより、運動を行うことが困難になることがあります。

CRPS患者では手指失認や大きさ知覚の障害、患肢の体性感覚の閾値上昇、患肢の運動イメージ時の脳賦活減弱が報告されており、無視様症候群の症状に類似しています。

前頭前野

前頭前野は痛みの情動・記憶・認知といった統合的な役割をもっており、急性痛よりも慢性痛に関与することが明らかになっています。

前頭前野が損傷すると洞察力にかけ、将来の計画立案が困難になりますが、慢性痛患者はそうした機能の中心である意思決定能力・意欲の低下を引き起こし、その背景には前頭前野・前帯状回が萎縮していることが報告されています。

また、痛みを調節する広汎性侵害抑制調節には、前頭前野・中脳水道灰白質が関与し、プラセボ鎮痛効果には前述した前頭前野・中脳水道灰白質が関与しています。

また、痛みを抑制しようと念じる前頭前野・島皮質・前帯状回が賦活することを明らかにされており、前頭前野は下降性疼痛抑制系に関わり、下降性疼痛抑制系の減弱が慢性痛に関与することが考えられています。

前頭前野は下降性疼痛抑制系の機能に関わり、最終的に慢性痛にも関与する

背側前頭前野と内側前頭前野

内側前頭前野

内側前頭前野は情動の制御に関わり、内側前頭前野が萎縮し活動が減少すると情動の制御が困難・低下することが想定されます。

 

背側前頭前野

背側前頭前野は認知プロセスである注意機能ワーキングメモリーに関与し、痛みが生じている際に活動が増加するということは痛みに対して注意が向けられていることが想定されます。

 

背側前頭前野と内側前頭前野の関係

背側前頭前野と内側前頭前野はお互いに抑制の関係にあり、背側前頭前野が過活動になると内側前頭前野の活動を抑制してしまう可能性があります。

従って痛みに対して必要以上に注意を向け、背側前頭前野が過活動になると内側前頭前野の活動が低下し情動の制御(痛みに対する嫌悪感の制御など)が難しくなります。

急性痛に対して痛みの注意を向けるので背側前頭前野は急性痛に関与し、痛みに対する情動は下降性疼痛抑制系に関わり、内側前頭前野は慢性痛に関与します。

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