【理学療法士が伝える】脳で感じる痛み:<痛みの知覚>とは

【医療者向け】痛み

末梢組織の何らかの原因により痛みが生じた場合、痛み信号は末梢・中枢で修飾されて脳に伝達されます。

痛み信号の修飾は中枢(脊髄)ではワインドアップ現象・長期増強・シナプス再構築などにより増強したり、反対に下降性疼痛抑制系の作用により減弱したりします。

下降性疼痛抑制系が活性化すると脳に伝達される痛み信号が減弱されますが、下降性疼痛抑制系は痛みの感じ方・捉え方などにより活性化されたり抑制されたりします。

痛みは【知覚】・【情動】・【認知】的側面の3つの性質を持っており、それぞれの脳領域が関与しています。

痛みの知覚

知覚

知覚とは感覚を介して刺激の性質を把握する働きのことであり、脳に伝達される情報の意味付けをすることをいいます。

触圧覚受容器の感覚信号が脳に伝達され、その物体が固い・柔らかいなどといった性質を識別する機能です。

 

Aδ線維・C線維

分類 線維 機能 感覚神経分類 直径(um) 伝達速度(m/s)
求心性 遠心性
A α 有髄 固有知覚 運動神経(骨格筋) Ⅰa・Ⅰb 12~20 70~120
β 触覚・圧覚 5~12 30~70
γ 運動神経(筋紡錘) 3~6 15~30
δ 痛覚・温度覚 2~5 12~30
B 交感神経節前線維 <3 3~5
C 無髄 痛覚・温度覚 交感神経節後線維 0.3~1.5 0.5~2.3

侵害受容器は【機械的侵害受容器】と【ポリモーダル受容器】に分類されます。

主に機械的侵害受容器はAδ線維ポリモーダル受容器はC線維を経て、脊髄後角に伝えられます。

Aδ線維は有髄線維で伝達速度15~30m/sで鋭い一次痛に関与し、C線維は無髄神経で伝達速度0.5~2.3m/sで不明瞭な遅発性の二次痛に関与しています。(上表)

痛みの知覚領域

Aδ線維が刺激されると対側の一次体性感覚野に反応がみられ、その後に両側の二次体性感覚野島皮質に反応がみられます。

Aδ線維は外側脊髄視床路を通り、視床の腹側基底核群を経由し一次体性感覚野二次体性感覚野に到達します。

外側脊髄視床路は痛みの知覚経路と考えられており、痛みの局在・強度・質といった識別を行っています。

C線維は内側脊髄視床路を通り、視床の髄板内核群を経由して島皮質前帯状回偏桃体海馬といった辺縁系に到達します。

内側脊髄視床路は情動経路として考えられており、痛みの情動認知といった部分に関与します。

しかし、外側脊髄視床路・内側脊髄視床路は完全にそれぞれ独立しているわけではありません

一次体性感覚野・二次体性感覚野に投射された情報は、後頭頂葉島皮質に投射されます。

島皮質からさらに帯状回前頭前野に情報が送られます。

この経路から痛みの知覚と情動が合わさり、統合されることで痛みの認知的側面が生じます。

【理学療法士が伝える】脳で感じる痛み:<痛みの情動>とは
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【理学療法士が伝える】脳で感じる痛み:<痛みの認知>とは
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