【理学療法士が伝える!】脊柱と重心線から考える異常姿勢について

【医療者向け】基礎

理学療法士は姿勢に注目することが多いかと思います。

姿勢が全てではないですが、座位姿勢・立位姿勢などを観察すると普段の日常生活が少し見えてきます。

姿勢というのは普段の生活を反映していると言っても過言ではないかもしれません。

姿勢が悪いと体幹の機能低下に繋がります。体幹は四肢の運動の土台となるため、体幹の機能低下は四肢の機能を阻害することに繋がります。

ここでは姿勢について脊柱という基礎からお伝えしていきます。

 

脊柱と姿勢

円背やSway backなどといった異常姿勢は【脊柱の配列変化・椎間板の変性・軟部組織の柔軟性異常・筋力低下・筋発揮能力低下】などによって生じます。

正常な椎間板では水分含有量が多い髄核には圧縮力が作用し線維輪には張力が作用します。

しかし、加齢になどによる椎間板が変性では【椎間板の水分含有量が減少・コラーゲン線維の増加・弾性繊維の減少】などが生じます。

そのため、椎間板では硬性が増すことで圧縮からの回復が難しくなり、椎間部分で可動性低下が生じます。

 

正常な椎間板と変性した椎間板の違い

圧縮負荷は椎体の終板から髄核と線維輪を通って反対側の終板へ伝達される。

正常な水分を多く含んだ若年者の髄核では、圧縮負荷に対して圧縮応力が生じます。

圧縮応力によって髄核中央から様々な方向に等しく周囲を押します。

上下の終板はお互いに押し出され合うことでゆがみ、線維輪は外側へ押し出されます。

変性髄核に圧縮負荷が加わった場合、髄核では十分な圧縮応力を作ることができないので終板は応力を受けられず、軸上方向に歪みを生じさせることが出来ません。

姿勢と椎間板内圧変化

立位姿勢時の椎間板にかかる内圧を100とした場合、それぞれの姿勢における椎間板内圧の変化を以下に記載します。

●立位姿勢:100

・立っておじきする:150

・前にある荷物を持ち上げる:220

・椅子に座る:140

・椅子に座って前のめりになる(パソコン業務中の姿勢など):185

・仰向けに横になる:25

・起き上がる:210

・両脚SLR:150

 

立位中の椎間板内圧(L3/4)は70kpaと言われています。

 

重心位置と正常姿勢

一般的に立位時の重心は床から測って身長の約55%と言われています。

矢状面において重心線は上から【乳様突起・肩峰・大転子・膝関節前部・外果の約2㎝前方】を通過します。(上図)

 

視覚的に身体重心を想定するには?

姿勢を分析する過程で視覚的な身体重心の特定は姿勢の悪化を引き起こす病態のメカニズムを理解するために有効になります。

身体重心の観察するポイントは上半身重心と下半身重心の中点として観察することです。

上半身重心は第7~9胸椎】に存在し、【下半身重心は大腿上から1/3~1/2】の間にあります。

矢状面上で立位姿勢において上半身重心が下半身重心より前方に位置する場合、身体重心は前方にあり、足圧中心の位置は前方変位します。

上半身重心が後方に位置する場合、身体重心は後方にあり、足圧中心の位置は後方に変位します。

つまり、下半身重心に対して上半身重心位置が相対的に前後・左右どこに位置するかによって身体重心位置は決まることになります。

 

異常姿勢

平背

平背とは、胸椎・腰椎の本来ある彎曲が減少している状態です。

脊柱は彎曲が頸椎・胸椎・腰椎の三か所にあり、着座や荷物を持ち上げた時などの脊柱にかかる衝撃・圧を緩和します。

脊柱の衝撃吸収力=N³(彎曲数)+1

衝撃や圧の緩和を行う彎曲が胸椎・腰椎部分で減少していると、脊柱・椎間板にかかる圧は強くなり、椎間板ヘルニアなどを誘発しやすくなります。

平背の原因は骨盤の後傾だと言われています。

骨盤の後傾する理由大きな理由の1つがハムストリングスの柔軟性が低下していることだと言われています。

平背を治療する方法として、【ハムストリングスのストレッチ】や【寝ている時に腰にバスタオルなどを入れる(腰の筋肉を緩めつつ腰椎の前彎を作り出していく)】とよいと言われています。

また、脊柱起立筋腸骨筋といった骨盤前傾に作用する筋が弱化していることが考えられるため、筋力強化運動も必要です。

●アライメント
・頸部前方位
・骨盤後傾位
・上位胸椎の後彎
・海峡対の平坦
・腰椎前彎の減少
・股関節の過伸展
・膝関節の過伸展
・足関節の軽度底屈
●弱化している筋群
・脊柱起立筋
・腸骨筋
●柔軟性が低下している筋群
・腹筋群
・ハムストリングス

 

円背

猫背といった頭部が体幹に対して相対的に前方に位置する姿勢は円背に繋がります。

特に座ってパソコン作業・勉強・読書などを行う際は、注意が必要です。

円背を引き起こす筋機能異常
・頸部前屈筋の弱化
・菱形筋群の弱化
・僧帽筋の弱化
・頸部後屈筋の柔軟性低下
・大胸筋の柔軟性低下

円背を引き起こす筋機能異常は上記の通りであり、上記の筋の筋力強化・ストレッチが必要です。

また、円背は加齢による椎間板の水分含有量低下によっても惹起されるので筋力強化・ストレッチで解決できない場合もあります。

 

Sway back

Sway Backとは基本的に【骨盤が後傾位であること】+【骨盤より胸郭が後ろにあること】をさします。

Sway Backのデメリットとして、骨盤後傾位・股関節の過伸展により股関節の前方に位置する腸骨大腿靭帯などが常に伸張されるため、腸骨大腿靭帯などの靭帯が伸張され股関節の安定性が失われたり、伸張され続けることで痛みが生じたりします。

Sway Backは腰椎が強く前彎することで腰椎椎間板ヘルニアを誘発したり、股関節の安定性が低下することにより下肢に二次的機能障害が生じてしまう可能性もあります。

Sway Backは骨や筋肉の配列から筋肉がどのような影響を受けバランスを崩しているのかを考えてみると以下のような代表的な特徴です。

1下肢:ハムストリングスの過緊張大腿四頭筋・大殿筋の弱化
2腹部:内腹斜筋の過緊張外腹斜筋の弱化
3胸部:胸筋の過緊張背筋の弱化

そのため、上記の筋の内、どの筋が特に影響が強いのかを見極めて優先順位をつけてストレッチや筋力強化を行っていく必要があります。

●アライメント
・骨盤後傾
・骨盤の重心線は前方変位
・胸椎後彎の増強
・腰椎の平坦
・股関節の過伸展
・膝関節の過伸展
●弱化している筋群
・頸部深部屈筋
・脊柱起立筋
・大腿四頭筋の広筋群
・外腹斜筋
・大殿筋
●柔軟性が低下している筋群
・大腿筋膜張筋
・ハムストリンス
・腸脛靭帯
・内腹斜筋
ここまで読んで頂きありがとうございました。