【リハに役立つ】血液検査の解釈:骨折の術前後

【医療者向け】血液・尿検査

骨折の術前後における検査値の特徴

検査値 基準値 本疾患の検査値 捉え方
C反応性蛋白(CRP) 0.3mg/dL以下 軽度上昇:0.3~1.0mg/dL
中等度上昇:1~10mg/dL
高度上昇:10mg/dL以上
骨折時および術後に上昇
高度上昇では感染症を疑う
白血球(WBC) 3300~8600/uL 中等度上昇:1.0~5.0×10⁴/uL 中等度増加では、感染症を疑う
ヘモグロビン(Hb) 男性:11.3~16.8g/dL
女性:11.6~14.8g/dL
貧血:10g/dL以下
赤血球沈降速度(血沈) 男性:2~10mm/時
女性:3~15mm/時
中等度亢進:25~50mm/時 30mm/時以上で感染症を疑う
D-ダイマー 0.9ug/mL以下 増加:1~5ug/mL
高度増加:5ug以上
高値で血栓リスクが増加
カルシウム(Ca) 8.8~10.1mg/dL 慢性心不全・甲状腺機能低下症で低値
甲状腺機能亢進症で高値
リン(P) 2.5~4.5mg/dL 副甲状腺機能亢進症で低値
副甲状腺機能低下症で低値
アルカリフォスファターゼ(ALP) 106~322IU/L 軽度~中等度上昇:
260~600IU/L
骨折により上昇
胆道・肝疾患・副甲状腺機能亢進症において上昇
骨型アルカリフォスファターゼ(BAP) 男性:3.7~20.9ug/L
女性:2.9~14.5ug/L
(閉経前)
女性:3.8~22.6ug/L
(閉経後)
軽度~中等度増加:
30~300ug/L
【骨形成マーカー】
29.0ug/L以上で骨折リスクが増加
血清Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX) 男性:9.5~17.7mmolBCE/L
女性:7.5~16.5mmolBCE/L
(閉経前)
女性:10.7~24.0mmolBCE/L
(閉経後)
軽度増加:
15~25mmolBCE/L
中等度増加:
25~100mmolBCE/L
【骨吸収マーカー】
16.5mmolBCE/L以上で骨折リスクが増加

※基準値は病院・資料別で異なる場合があります

骨折の特徴

椎体圧迫骨折・上腕骨近位端骨折・橈骨遠位端骨折・大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折の発生頻度が高く、特に大腿骨頸部骨折大腿骨転子部骨折はQOLを著しく阻害する疾患です。

受傷後の合併症は感染深部静脈血栓症(DVT)などがありますが、なかでもDVTは肺塞栓症(PE)のリスクもあるため、注意すべき合併症の1つです。

骨粗鬆症を患っていると転倒予防のみならず骨粗鬆症に対する治療が重要になってきます。

※骨粗鬆症:定義「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患」、治療として薬物療法・運動療法・食事療法が推奨されています。

 

頻出検査項目と検査値

術後・骨折および術侵襲にともなう炎症反応に関連する項目(CRP・白血球)が上昇します。

しかし、創部からの排膿・急性期・慢性的な患部の痛みが生じた場合は、インプラント感染を疑い血沈30mm/時以上CRP10mg/dL以上で感染症が疑われます。

D-ダイマーはプラスミンによるFDPの加水分解で生じ、線溶系が亢進することで血栓が存在していることを示すマーカーです。

D-ダイマーはDVT発生のリスク判定となり、D-ダイマーは加齢にともない特異度が下がるため、高齢者では臨床所見とあわせて評価します。

骨粗鬆症の診断には骨密度が用いられ、骨代謝(形成・吸収)マーカーは診断には用いられないので注意します。

骨粗鬆症の診断には病態評価・薬物選択・治療効果判定に用いられます。

骨形成マーカーはBAP、骨吸収マーカーはNTXなどが用いられます。

骨粗鬆症CaPALPは正常値内となります。

 

薬物療法

骨粗鬆症を既往として患っていた場合、骨折部の治療と同時進行で骨粗鬆症の治療も行う事が多いです。

骨粗鬆症に対する第一選択薬は、ビスホスホネート製剤(BP製剤)とされています。

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)は、DVT発生リスクがあります。

その為、治療薬として選択されている場合、DVT発生の予防のために弾性包帯下肢挙上足関節・足趾底背屈運動間欠的空気圧迫法などで予防に努めることが大切です。

テリパラチド投与後は嘔気・頭痛・めまい等が生じる可能性があるため、リハビリ介入時間の調整が必要となります。

活性型ビタミンD製剤転倒抑制効果が報告されています。

薬剤名 検査値の影響 薬効 副作用 注意点
BP製剤
(アレンドロン酸錠・リセドロン酸錠)
骨密度上昇効果 上部消化管障害
急性期反応(発熱・筋肉痛・骨痛)
SERM
(ラロキシフェン・バセドキシフェン)
LDL-C↓
HDL-C↑
骨密度上昇効果 深部静脈血栓症 深部静脈血栓症に注意
抗RANKL抗体
(デノスマブ)
Ca↓ 骨吸収抑制効果 低Ca血症
テリパラチド Ca↑
UA↑
骨形成促進作用 嘔気・頭痛・めまい 注射直後に副作用が出やすいため、投与後は注意
活性型ビタミンD製剤 Ca↑ 骨密度上昇効果
骨格筋力向上
転倒抑制効果
高Ca血症

気を付ける検査値

●CRP・WBC・血沈

上記の値が上昇した場合、【骨折および術後の炎症反応による上昇】か、【外科手術後インプラント感染による上昇】か確認する必要があります。

 

●D-ダイマー

D-ダイマーは血栓発生のリスクの指標であり、血栓が疑われる場合Homans sign(足関節背屈位で腓腹部に疼痛が発生)などの理学所見で確認します。

また、エコー・CTなどの画像所見と合わせて診断が必要になります。

「呼吸が苦しい」など自覚症状が症状した場合は、直ちにDrに報告し対応する必要がある可能性があります。

 

●RBC・Hb・Ht(特にHb)

術中出血量・ドレーン排液量などを確認し、貧血が生じていないか確認します。

また、酸素運搬能力が低下するため嫌気性作業閾値を超えやすく労感が伴いやすいです。

 

参考書籍

血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫リハビリの進捗を予測することが出来ます。

血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!

検査項目別・疾患別で記載してあるので、ぜひ参考にしてみて下さい!!

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