リハビリを行っていく上で部分的な評価だけでなく、理学療法以外でも全体的な評価は欠かせません。
全体的な評価の1つとして血液データの解釈は欠かせません!
ここではまずMCV・MCH・MCHCの解釈についてお伝えしていきます。
MCV・MCH・MCHC
MCV
赤血球1個の平均の大きさ
ヘマトクリット値÷赤血球数×10で計算され、ビタミンB12欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血・鉄欠乏性貧血などについて調べます。
MCH
赤血球1個に含まれるヘモグロビンの量
ヘモグロビン値÷赤血球数×10で計算され、ビタミンB12欠乏性貧血・葉酸欠乏性貧血・鉄欠乏性貧血などについて調べます。
MCHC
赤血球に含まれるヘモグロビンの%
ヘモグロビン値÷ヘマトクリット値×100で計算されます。
各貧血症状
貧血とは赤血球数もしくはヘモグロビン濃度が低下した状態を言います。
赤血球のヘモグロビンによる組織への酸素供給が障害されることによって動悸・息切れ・全身倦怠感・頭痛・食欲不振などが起こります。
鉄欠乏性貧血
鉄はヘモグロビンの酸素結合部位を構成しています。
血中の鉄が欠乏することでヘモグロビンを合成できず、貧血となります。
鉄欠乏性貧血は鉄分の摂取不足や吸収低下、鉄喪失(出血・消化器疾患・外科手術など)、生体の鉄需要性増大(慢性炎症・妊娠・悪性腫瘍など)によって起こります。
貧血症状の他に匙状爪(爪の中央部が凹む)が特徴的にみられます。
鉄欠乏性貧血は舌乳頭萎縮や嚥下障害を伴うものをプランマー-ヴィンソン症候群と呼びます。
軽度の慢性貧血では自覚症状がないことも多いです。
再生不良性貧血
骨髄造血幹細胞の異常により骨髄での造血能が低下し、重篤な汎血球減少(赤血球・白血球・血小板のすべての減少)をきたします。
再生不良性貧血では、貧血の他に感染症・発熱・出血症状などがみられます。
溶血性貧血
溶血とは赤血球が異常に破壊されて赤血球寿命が短縮することを指し、溶血のに起こる貧血を溶血性貧血といいます。
貧血症状に加えて、溶血で生じるビリルビンのために黄疸や褐色尿・脾腫などを認めます。
血液検査では間接ビリルビンや乳酸脱水素酵素(LDH)の値が大きくなります。
巨赤芽球性貧血
赤血球の成熟は障害されて正常な赤血球ができず、骨髄中の巨赤芽球が出現する貧血を巨赤芽球性貧血といいます。
主な原因は細胞のDNA合成に必須なビタミンB12または葉酸の欠乏によります。
食事制限やアルコール依存症による摂取不足のほか、胃切除や胃炎などによる内因子の不足、あるい小腸でのビタミンB12吸収障害などによります。
特に自己免疫性胃炎の胃粘膜萎縮に伴う胃内因子の分泌障害に基づくビタミンB12吸収障害により生じる巨赤芽球性貧血を悪性貧血といいます。
貧血一般の症状のほか、舌乳頭の萎縮・発赤、舌の疼痛(ハンター舌炎)がみられます。
ビタミンB12欠乏症ではしびれや知覚異常などの神経症状がみられ、これを亜急性連合性脊髄変性症といいます。
参考書籍
血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫やリハビリの進捗を予測することが出来ます。
血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!
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