【リハに役立つ】血液検査の解釈:慢性腎臓病(CKD)

【医療者向け】血液・尿検査
・eGFR60mL/min/1.73m²未満が3ヶ月以上継続する
・eGFRの値に関わらず、腎障害を示唆する所見(尿検査陽性、画像所見、血液検査異常、病理所見など)が3ヶ月以上存在する

慢性腎臓病(CKD)は上記のどちらか一方でも満たす場合に診断されます。

慢性腎臓病は末期腎不全の予備軍です。

一般に慢性腎臓病では尿異常から始まり、徐々に進行してESKDに進行します。

慢性腎臓病の進行にともなって心血管疾患発症率が高くなり、慢性腎臓病が高度に進行している場合、心血管発症率が加速的に高まります。

 

慢性腎臓病における検査値の特徴

検査値 基準値 本疾患の検査値 検査値の捉え方
クレアチニン(Cr) 男性:0.65~1.07mg/dL

女性:0.46~0.79mg/dL

中等度上昇:1.5~2.4mg/dL

重症:2.4mg/dL以上

筋肉量に依存し男性、若年者で高い傾向にある

腎機能が低下した状態や脱水時に高値になります

尿素窒素(BUN) 8~20mg/dL 低窒素血症:8mg/dL以下

高窒素血症:20mg/dL以上

腎不全による脱水で高値となる

肝不全により尿素の合成が低下すると低値となる

尿酸(UA) 男性:3.7~7.8mg/dL

女性:2.6~5.5mg/dL

高尿酸血症:7mg/dL以上

薬物療法の対象:8mg/dL以上

腎機能低下時にUA排出機能低下により高値となる
推定糸球体濾過量(eGFR) 正常または高値」:60以上

正常または軽度低下:60~90未満

軽度~中等度以下:30~60未満

高度以下:15~30未満

末期腎不全:15未満

腎機能障害が進むと低値になり、低値になるごど予後が悪くなる

 

慢性腎臓病の重症度を分類

尿中L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP) 8.4ug/g×Cr以下 基準値内 腎機能障害が進むと高値になる

腎血液量が減少すると高値になる

食事の影響を受けず

、日内変動もない

蛋白尿 50~100mg/日の排出 持続して150mg/日の排出がある場合:病的蛋白尿 発熱・過激な運動で一過性に蛋白尿を認めるが、1g/日以上の場合は腎性の疾患を疑う
血清シスタチンC(Cys-C) 男性:0.63~0.95mg/L

女性:0.56~0.87mg/L

高値:5mg/Lより高値 早期腎機能低下に対する感度・特異度が高い
ヘマトクリット(Ht) 男性:40.7~50.7%

女性:35.1~44.4%

男性:51.0%以上で異常値

女性:48.0%以上で異常値

高値では脱水症状に注意

服薬(利尿薬)の変更後にはチェックする

よく検査される項目と検査値

腎機能の評価は、CrをもとにしたeGFRを用います。

また、筋肉量や食事、運動の影響を受けにくい血清シスタチンC(Cys-C)値を基にしたeGFRも有用となります。

 

●Cr値は筋代謝の産物であるため、筋肉量に大きく影響され、長期臥床など筋肉量の少ない症例では、eGFRは低めに推算されます。

●Cys-Cは筋肉量にほとんど影響されないので、eGFRの信頼性が低いと思われる症例では有用性が高いです。

腎機能障害が進行するとCr・BUN・UA・L-FABPが高値となり、蛋白尿の排出が認められます。

腎機能障害の進行とともに腎でのエリスロポエチン産生が低下し、腎性貧血を発症するためHbの値を確認します。

薬物療法

薬剤名 検査値への影響 薬効 副作用 リハの注意点
高圧剤 エナラプリルマレイン塩酸 蛋白尿↘ 輸出細動脈の拡張、糸球体内圧の低下、全身血圧の低下 空咳(ACE阻害薬のみ)、血管浮腫 高齢者や低血圧疾患は、めまいやふらつきに注意
カンデルサルタン
オルメサルタン
脂質異常症治療薬
(フェルノフィブラート、アトル場スタチン)
蛋白尿↘
LDL-C↘
TG↘
HDL-C↗
コレステロール値の低下 横紋筋融解症 過酷な筋肉痛が生じるため、ここ数日間の運動内容を確認、運動内容も過負荷に注意
赤血球造血刺激因子製剤
(アデニン、エポエチン)
Hb↗ 赤血球造血 高血圧
血栓塞栓症
血圧の確認
呼吸状態の確認
サイアザイド利尿薬
(トリクロメチアシド)
BUN・Cr↗
Na・K↘
Ca↘
尿酸↗
Na・Clの再吸収抑制・尿中への排泄促進、循環血液量の減少、血圧の低下 間質性肺炎
肺水腫
発疹
顔面紅潮
光線過敏症
脱水症状に注意し運動時の血圧を把握、胸部X線をチェックし肺の状態を把握
ループ系利尿薬
(フロセミド)
BUN・Cr↗
Na・K↘
Ca↘
尿酸↗
Na・Clの再吸収阻害による水分の排泄促進 ショック
アナフィラキシー
再生不良性貧血
水疱性類天疱瘡
難聴
1日の尿量をチェックし脱水症状に注意
バソプレシン拮抗薬
(トルバプタン)
Na・K↗
Cr↗
水の再吸収阻害による排泄促進 口渇
頻尿
多尿
めまい
多飲症
夜間頻尿による不眠・易疲労感の有無・高Na血症に注意

リハ中に気を付ける検査値

eGFR・Cr・BUN・蛋白尿

腎機能の悪化ににより腎血液量の減少・腎動脈硬化が生じ、eGFR低下・Cr・BUN上昇につながります。

連続したeGFR低下があり、Crが2.4mg/dLより高値になった場合は積極的な運動療法を禁忌とします。

蛋白尿は発熱・過激な運動で一過性に認めますが、1g/日以上とはなりません。持続的な蛋白尿は病的蛋白尿と判断され腎機能の悪化が疑われますので、積極的な運動療法は禁忌とし、ADLレベルのリハにします。

 

BUN/Cr比、Ht

意欲低下・易疲労感・脱力・血圧低下(脱水症状):「疲れた」・「身体が重い」という訴えがあれば、BUN/Cr比が25より大きくHtが高値(脱水)になっていないかを確認します。

利尿薬が効きすぎた場合には体内の水分バランスが崩れ脱水に傾き、脱水の進行によって血圧低下につながり、脱水がひどくなると意識障害に陥る場合もあります。

 

eGFR・Na・Alb

腎機能の悪化によりeGFRが低下浮腫が増悪します。

水やNaの過剰、静脈系のうっ滞・毛細血管透過性の低下、低Albの濁流異常により毛細血管内静水圧が上昇して、細胞の外に組織間液が増加した状態であるので血管内脱水に陥っている可能性があり、リハビリ中は循環動態の変動に注意します。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。