糖尿病の血液検査値の特徴
検査値 | 基準値 | 本疾患の検査値 | 検査値の捉え方 |
空腹時血糖 | 70~110mg/dL | 高値:126mg/dL以上 | 糖尿病の場合、空腹時の運動療法は低血糖のリスクが高まるため、原則運動は行わない方がよいです。 |
随時血糖(食後血糖) | 200mg/dL未満 | 高値:200mg/dL以上 | HbA1cが高くなくても随時血糖が高いこともあります。 |
HbA1c | NGSP:4.6~6.2% | 高値:6.5%以上 | 過去1~3ヶ月の平均血糖状態を表す指標となります。運動療法を含めた糖尿病治療の効果判定となります |
75g経口ブドウ糖負荷試験 | 負荷前血糖値 110mg/dL未満 負荷後2時間値: 140mg/dL未満 |
糖尿病型 ー高値:2時間値 ー200mg/dL以上 境界型 ー高値:2時間値 ー140~200mg/dL |
血糖値のピークを把握し、運動を行うタイミングを指導するための判断材料となります。 |
ケトン体 | 陰性 | 1+~3+ | 食事・運動・ストレスなどによる日内変動がみられます 糖尿病では食事間隔が空く、朝食前が高値となります。 |
糖尿病の特徴
糖尿病の初期はほとんど自覚症状がありません。
糖尿病には多くの合併症があり、予後はさまざまです。
糖尿病に対しては運動をすることでインスリン効果を高めることが有効であるが、糖尿病による合併症により運動が制限されることが多くあります。
そのため、糖尿病は予防することが何より大切であり、重症化する前に運動・食事・薬物療法で血糖をコントロールすることが大切になります。
また、血糖コントロールとして薬物療法を行いますが、服薬内容とその日の食事量・内容を確認し低血糖症状・高血糖症状に注意します。
食事量を十分に摂取出来なくてもインスリン投与をゼロには出来ないので、そのまま運動療法を行うと低血糖症状に繋がる可能性がありリスクが伴います。
また、シックスデイというように体調が悪い時にも影響を受けやすいのでその日の調子についても聴取する必要があります。
運動療法を行う前に、服薬・食事・体調について聴取することがリスク管理を行う上で非常に大切です。
薬物療法
薬剤名 | 検査値の影響 | 薬効 | 副作用 | リハビリの注意点 |
スルホニル尿素薬 (グリメピリドなど) |
血糖値↘ | インスリン分泌促進 | 低血糖 | 低血糖を起こしやすく、服薬のタイミングと食事量に注意します |
速攻型インスリン分泌促進薬 (ナデグリニド) |
血糖値↘ | 低血糖 | 肝障害や腎障害がある場合、低血糖のリスクが高まります | |
DPP-4阻害薬 (シタグリプチン) |
血糖値↘ | 単独投与では低血糖の可能性は少ないです | スルホニル尿素薬やインスリンとの併用で低血糖のリスクが高まります | |
GLPー1受容体作動薬 (リラグルチド) |
血糖値↘ | 体重減少・食欲低下 | スルホニル尿素薬やインスリンとの併用で低血糖のリスクが高くなります | |
ビグアナイド薬 (メトホルミン) |
血糖値↘ | インスリン抵抗性改善 | 乳酸アシドーシス | 乳酸アシドーシスの主な症状(食欲低下・嘔吐・悪心・腹痛・軟便・疲労感・筋肉痛・過呼吸)に注意します |
チアゾリジン (ピオグリタゾン) |
血糖値↘ | 体液貯留・体重増加・膀胱がん・骨折 | 循環血液量の増加や脂肪細胞の増加による体重増加、特に女性では骨折のリスクが高まります | |
SGLT2阻害薬 (イプラグリフロジン) |
血糖値↘ 尿糖陽性 |
糖吸収・排泄調節 | 脱水・尿路感染・体重減少 | 夏場や利尿薬を服薬している場合には脱水に注意が必要です |
α-グルコシターゼ阻害 (アカルボース) |
血糖値↘ | 腹部膨満感・放屁・下痢・腸内ガスの増加にともなう | 服薬者が低血糖になたあ場合は必ずブドウ糖を摂取させる
(砂糖・チョコなどは九州速度が遅くなり血糖上場まで時間がかかる) |
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インスリン製剤 | 血糖値↘ | 体内のインスリンと同様の作用 | 低血糖・体重増加 | 食事と注射のタイミングや食事と投与量のアンバランス、体調の変化などで低血糖を起こしやすくなります。 |
リハビリ中に気を付ける検査値
HbA1cは定期的に測定している場合、推移は欠かさずに確認していきます。
HbA1cは過去1~2カ月の血糖コントロールを反映するため、より長期的な生活習慣を推察する材料になります。
空腹時血糖、もしくは随時血糖が食生活や活動状況を推測する材料にもなり、リスク管理を行う上で大切な値になります。
低血糖症状
その場で血糖値を測定します。
低血糖症状として…
運動療法には血糖降下作用があるため、運動中・運動後に低血糖となるおそれがあります。
交感神経症状・中枢神経症状に関わらず、低血糖症状が現れたらすぐにリハビリを中止し血糖値を測定します。
測定後、低血糖(一般に70mg/dL未満)で砂糖やチョコなどでグルコースを摂取させる必要があります。
α-グルコシターゼ阻害薬を服用している場合、糖の吸収に時間がかかるため直接ブドウ糖を摂取させます。
高血糖症状
血糖値とケトン体を確認します!!
高血糖状態として、糖尿病ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群などのつながる可能性があり、最悪の場合には昏睡に陥る可能性のある大変怖い状態です。
高血糖症状がみられたらリハビリを行う前に血糖値を測定します。
高血糖(一般には250mg/dL以上)が確認されれば、Drに連絡します。
参考書籍
血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫やリハビリの進捗を予測することが出来ます。
血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!
検査項目別・疾患別で記載してあるので、ぜひ参考にしてみて下さい!!
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臨床判断を鍛えるアセスメント力がつく検査値の読み方[本/雑誌] / 道又元裕/監修 価格:3,245円 |
ここまで読んで頂きありがとうございました。