リハビリを行っていく上で部分的な評価だけでなく、理学療法以外でも全体的な評価は欠かせません。
全体的な評価の1つとして血液データの解釈は欠かせません!
ここではまずLDH(乳酸脱水素酵素)の解釈についてお伝えしていきます。
LDH(乳酸脱水素酵素)
LDHは体内で糖がエネルギーに変わるときに働く逸脱酵素です。
LDHは身体のほとんどの組織に存在し、身体の細胞が損傷することで血中に流れます。
主に肝臓・心臓・腎臓・骨格筋・血球の異常のスクリーニングとしてみます。
成人の場合、年齢差や男女差はありません。
しかし、運動によって数値が高くなる場合があり、運動によってでた高値は1週間程度続く場合もあるので測定前の運動負荷を把握しておくことも大切です。
LDH(乳酸脱水素酵素)の基準値
LDH(乳酸脱水素酵素)が高値の時
症状 | 貧血 息切れ 筋膜性疼痛 疲労感 胸痛 |
病態 | 身体の細胞の損傷により血中に流れ出て高値となる |
原因・影響因子 | 心筋梗塞 癌 溶血性貧血 過度な運動 心不全 ウイルス性肝炎など |
LDHは身体の色々な組織に存在する為、LDHのみ高値では具体的な原因は分かりません。
その為、AST・ALTなどが高値であれば肝臓の損傷を疑い、CK-MB・AST・BNPが共に高値であれば心臓の異常を疑うなど様々な検査値と組み合わせて評価を行います。
肝障害でLDHが最も高値になるのはウイルスが原因でおこる急性肝炎であり、急性期には基準値の4~5倍に上昇します。
アルコール性肝炎・脂肪肝・慢性肝炎・肝硬変では2倍以内の上昇が一般的です。
急性心筋梗塞ではLDHは発症6~10時間で上昇し始め、24~60時間で極値、正常の4~5倍の値になります。
LDHだけが異常に高値の場合は、悪性腫瘍の存在が疑われます。これは癌細胞は多くのエネルギーを必要とし、LDHが多量に出てくるためです。
リハプログラム
LDHが高値であり、その他の血液検査・身体所見から原因を探ります。
肝臓に異常があり、低Alb血症を認める場合は筋力強化運動による筋肥大効果はあまり期待出来なくなります。
また、肝臓はアンモニアを無毒な尿素窒素にかえる働きをしており、肝機能の異常は倦怠感などが出てくる可能性があります。
腎臓に異常がある場合、腎性の浮腫や腎性高血圧症などが症状として出ている可能性があります。
また、日中の運動強度が高いと日中の尿が減り、夜間頻尿になる可能性があるので夜間のトイレの回数の増減などに注意します。
参考書籍
血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫やリハビリの進捗を予測することが出来ます。
血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!
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