リハビリを行っていく上で部分的な評価だけでなく、理学療法以外でも全体的な評価は欠かせません。
全体的な評価の1つとして血液データの解釈は欠かせません!
ここではまずALP(アルカリフォスフォターゼ)の解釈についてお伝えしていきます。
ALP(アルカリフォスファターゼ)
ALPは肝臓や胆汁の通り道である胆道の異常原因や種類を見分ける際に有効です。
ALPはリン酸化合物を分解する働きをもつ酵素で、肝臓や小腸、腎臓、骨などの多くの臓器や器官に存在しています。
上記の組織に異常が生じるとALPが血中に流れ出し異常値となります。
こういった場合もAST・ALTをはじめ、他の肝機能検査の結果をもとに、肝臓 or 胆道に異常があるのかを検査します。
ALP(アルカリフォスファターゼ)の基準値
ALP(アルカリフォスファターゼ)が高値の時
症状 | 黄疸 浮腫(腹水など) 低アルブミン血症 |
病態 | 肝臓・胆道・骨などの組織に異常をきたしている状態 |
原因・影響因子 | 急性・慢性肝炎 肝硬変 胆管結石・胆管がん 潰瘍性大腸炎 骨折・骨軟化症 甲状腺機能亢進症 骨腫瘍 |
ビリルビンは肝臓で処理されて胆汁の中に排泄されます。
その為、肝機能障害により胆汁の流れが悪かったりすると、上図のように黄疸がみられます。
また、肝機能障害により低アルブミン血症をきたしている場合は筋力強化運動による筋肥大効果はあまり期待出来ない場合が多いです。
ALP(アルカリフォスファターゼ)が低値の時
症状 | 骨の遷延性癒合など |
病態 | 遺伝子の変異など |
原因・影響因子 | 甲状腺機能低下症 亜鉛欠乏 |
基本的にALPが低くなることがあまりありません。
低ALPとして有名なのが、低フォスフォターゼ症という遺伝子の変異によって組織非特異的ALPの機能が低下あるいは喪失することにより、骨の石灰化が障害される遺伝子疾患です。
ALPは無機ピロリン酸を分解しリン酸を作る働きがありますが、リン酸とカルシウムが結合することで結晶ができ、骨に沈着することで正常な骨が形成されます。
低ALPではリン酸を構成できず、正常な骨の形成が遅れてしまいます。
リハプログラム
ALPの高値を認める場はALTやAST・γ-GTPなどの数値や身体所見(腹水・黄疸など)から総合的に肝機能を評価します。
肝機能障害を認め、食事量は十分に摂取しているのにも関わらず低Albとなっている場合は肝臓でAlbを生成出来ていない可能性があるので筋肥大効果はあまり期待できない可能性があるのでリハビリ内容を工夫する必要があります。
また、骨折などの整形疾患患者では骨折により高値となっている可能性もあるので注意します。
あまりみないケースですが、低ALP血症となっている場合は骨の遷延性癒合となる場合があるので荷重時期には注意が必要です。
参考書籍
血液検査の数値を把握しておくことで、より詳しくリハビリのリスクを把握したり、リハビリプログラムの構築の工夫やリハビリの進捗を予測することが出来ます。
血液検査に詳しくなると、周囲の療法士に頼られることが増えると思います!!
検査項目別・疾患別で記載してあるので、ぜひ参考にしてみて下さい!!
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ここまで読んで頂きありがとうございました。