【理学療法士が伝える】拘縮とは?

【医療者向け】ストレッチ

拘縮とは

定義【改変引用】
皮膚・皮下組織・骨格筋・腱・靭帯・関節包などといった関節周辺に存在する軟部組織が基質的に変化し、関節可動域制限が生じている状態

拘縮の発生は加齢身体の不活動(関節の不動)によって生じることは周知の通りであり、身体の不活動は疾患にかかる期間の長期化・痛み・運動麻痺・痙縮・生活活動能力そのものの低下などによって生じます。

骨格筋の変化に伴う拘縮

上図:沖田 実:関節可動域制限の発生メカニズムと治療戦略から引用

拘縮には骨格筋の解剖学的変化(筋長の短縮)機能的変化(伸張性低下)によって感じ取ります。

解剖学的変化として筋長の短縮は1週間という短期間の不動期間でも発生しますが、筋長の短縮の程度は少なくとも12週間という不動期間では大きく変化しないことが分かっています。

このことから解剖学的変化(筋長の短縮)は拘縮の発生には関与しますが、拘縮の進行には関連が薄いと考察できます。

機能的変化として伸張性低下は不活動期間の延長に伴い著しくなります

このことから伸張性低下は拘縮の進行に関連があります。

解剖学的変化(筋長の短縮):拘縮の発生に関与、進行には関与が薄い
機能的変化(伸張性低下):不活動期間に伴い著しい、拘縮の進行に関連

 

骨格筋の変化に伴う拘縮のメカニズム

骨格筋の伸張性は主に筋線維筋膜によって発揮されます。

不活動にともなう骨格筋の伸張性低下は主に筋膜の変化(主にコラーゲンの変化)が影響していると考えられています。

コラーゲン含有量の変化

病的に組織内のコラーゲン含有量が増加すると組織の伸張性低下が生じることは周知の通りです。

このような現象を線維化と呼ばれています。

骨格筋では1~2週間の不活動期間がコラーゲン線維の含有量増生を引き起こし、筋周膜や筋内膜の肥厚が認められています。

重篤な拘縮症例では本来筋線維が存在する部位に緻密なコラーゲン線維の増生が生じ、著名な線維化を認めています。

不活動によるコラーゲン線維の増生は拘縮発生メカニズムの1つとして考えられています。

コラーゲンアイソフォームの変化

身体にはアイソフォームが異なりコラーゲン線維が多数存在し、筋膜においてはタイプⅠコラーゲン線維(硬度が要求される組織で含有率が高い)とタイプⅢコラーゲン線維(伸張性・柔軟性が要求される組織で含有率が高い)が主です。

※アイソフォーム:機能は同一であるはアミノ酸配列が異なる蛋白質分子。

1週間・2週間・4週間、骨格筋が不活動状態になると筋周膜・筋内膜のタイプⅠコラーゲン線維・タイプⅢコラーゲン線維の両者が増加することが分かっています。

筋内膜のタイプⅠコラーゲン線維においては、不活動期間に伴い増加が認められています。(下図)

上図:沖田 実:関節可動域制限の発生メカニズムとその対処法

不活動に伴う骨格筋の拘縮:タイプⅠコラーゲン線維・タイプⅢコラーゲン線維の増加
拘縮進行:筋内膜のタイプⅠコラーゲン線維の増加

 

コラーゲン線維の配列変化

筋膜の伸張性は、個々のコラーゲン線維が十分に可動することで生み出されます。

骨格筋は1~2週間の不活動状態では筋内膜の正常と同じコラーゲン線維の配列変化が認められます。

しかし、不活動状態が4週間になるとコラーゲン線維の配列変化が認められにくくなります。

不活動期間が4週間を超えてくると、可動性が得られにくくなると考えます。

骨格筋は比較的長期間不活動状態になると、筋内膜の個々のコラーゲン線維の可動性が減少し、筋内膜の伸張性低下が惹起されます。

拘縮進行のメカニズム:コラーゲン線維の可動性低下により配列変化が得られにくくなる

コラーゲン架橋線維の変化

コラーゲン線維は成長に伴いコラーゲン線維分子の末端に架橋が形成されます。

コラーゲン線維はある程度の強さ・硬さに成熟しますが、加齢現象としてコラーゲン分子間にランダムに架橋が形成されます。

不活動状態が3週間を超えると上記のコラーゲン分子間のランダム架橋が認められるようになります。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。