【リハに役立つ】歩行分析:トレデレンブルグの原因とは

【医療者向け】歩行

歩行時のトレンデレンブルグは臨床において、よくみられる跛行の1つです。

トレデレンブルグ徴候が生じると、程度によっては転倒リスクが伴ったり、微弱な徴候でも歩行効率が悪くなり長距離の歩行が難しくなるかもしれません。

しかし、トレデレンブルグ徴候が生じる原因は1つではなく様々です。

ここではトレデレンブルグ徴候が出てしまう原因を探っていきます。

トレデレンブルグの原因

中殿筋

トレデレンブルグが生じてしまう原因として、中殿筋の筋力低下はよく挙げられる原因です。

中殿筋の筋力低下は特に歩行の立脚中期において、トレデレンブルグを引き起こす原因となります。

大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭置換術や全人工股関節置換術(THA)などでは術侵襲となることがあり、筋力低下を起こしトレデレンブルグが生じることがあります。

 

また、中殿筋の筋力低下だけでなく【張力】が低下することによってもトレデレンブルグは生じます。

中殿筋の張力が低下することは変形性股関節症により骨頭が外側上方に変位し骨盤と大転子の距離が近くなることなどが挙げられます。

中殿筋が短縮位となることで、張力が低下しトレデレンブルグが生じることがあるので下図などのレントゲンがみられた際は予測し歩行観察・分析を行います。

大腿筋膜張筋

これまではトレデレンブルグの原因に対して中殿筋に焦点を当ててきましたが、大腿筋膜張筋も歩行時には股関節外転筋としての役割を担っています。

中殿筋は立脚期前半の股関節外転筋としての役割が大きいですが、大腿筋膜張筋は比較的立脚後期まで活動が続きます。

その為、大腿筋膜張筋は立脚後期の前額面上で骨盤が動揺しないようにする役割があります。

しかし、大腿筋膜張筋は股関節の屈曲・外転作用を持っているため、屈曲作用が腸腰筋の筋活動を補助も意味していると思われ、外転作用のみに着目しないように注意が必要です。

 

股関節内転筋

股関節外転筋は拮抗筋である股関節内転筋の共同活動により、股関節を安定させます。

股関節内転筋の筋力低下は骨盤・股関節の不安定を招き、トレデレンブルグ徴候の原因となります。

また、人工股関節置換術後のトレデレンブルグ徴候の出現の有無を股関節外転筋・内転筋機能から研究したものでは、トレンデレンブルグ徴候は股関節外転筋・内転筋の立ち上がり時間(瞬発力)が異なる場合においても生じることが分かっています。

つまり、股関節外転筋の立ち上がり時間が延長(瞬発力が低下)し、股関節内転筋の立ち上がり時間が短縮している場合、トレンデレンブルグ徴候が生じてます。

トレンデレンブルグ徴候は単純な筋力低下だけでなく、個々の外転筋・内転筋の筋機能として、両足の力と立ち上がり時間の不均衡、すなわち瞬発力の不均衡によっても引き起こされるということです。

内腹斜筋

:床反力 :体重

歩行の初期接地時の床反力と体重が相まって骨盤がズレます。

内腹斜筋の筋活動によって骨盤のズレを防ぎますが、内腹斜筋の筋力低下によって初期接地時に骨盤がズレ、トレンデレンブルグ様の跛行が生じます。

股関節周囲筋にのみ着目せず、体幹機能にも視野を広げ評価する必要があります。

 

脚長差

THA・TKAなどの人工関節置換術や下肢骨折術後などにより脚長差(患側の延長)が生じるとトレンデレンブルグの原因となります。

筋力の評価・機能だけでなく形態測定も行い総合的に評価する必要があります。

脚長差が原因でトレンデレンブルグ徴候が生じている場合、健側の補高を行うことも検討します。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。