【理学療法士が伝える】運動主体感とは?

【医療者向け】脳機能

自動運動の際の運動意図と運動結果による視覚・体性感覚フィードバック一致すれば運動主体感(sense of agency)が起こります。

ムービングラバーハンド実験では、指を動かすという運動意図と指を動かした固有感覚触圧覚など体性感覚フィードバック視覚(ラバーハンドの動き)が一致することで、ラバーハンドの手においても運動主体感が生じているということです。

 

 

運動主体感のメカニズム

 

人は自分の意思で運動を行う際は、一次運動野の運動プログラムを皮質脊髄路に伝達し、最終的に筋肉へ伝達することで運動を行います。

またこの時の運動プログラムのコピー情報を遠心性コピー(efference copy)として頭頂葉小脳に送ります。

この遠心性コピーを送ることで運動の結果生じると思われる感覚フィードバック(FB)を予測します。

この【運動の結果起こると予測される感覚】【実際に運動の結果生じた求心性感覚情は照合されます。

運動主体感はこの遠心性コピー(運動の結果起こると予測される感覚)実際の感覚FBの統合によって起こるとモデル化されています。

この遠心性コピーと実際の感覚FBが一致しない場合、異常知覚重さの知覚の変容など、主観的知覚の変化が生じることが分かっています。

 

運動と感覚の不一致は皮質脊髄路の興奮性が高まらず運動主体感が感じなくなることが示唆されています。

脳卒中にによる運動麻痺に加えて、筋出力低下・随意性低下による遠心性コピーと感覚FBの不一致がさらなる皮質脊髄路の興奮性を阻害していることが考えられます。

プロスペクティブな運動主体感とレトロスペクティブな運動主体感

レトロスペクティブな運動主体感は上図・上記の内容の通りであり、運動意図と実際の運動・運動結果の感覚FBによって起こるものです。

プロスペクティブナな運動主体感とは運動意図と実際の運動行為発現までの間に出現するものです。

プロスペクティブな運動主体感は顕在的な意識に昇らないが、潜在的な意識によっても運動が影響されることを示しており、運動の後に実際の意のままにコントロールできたかという意識を主体的に問うと、コントロールできたと感じる方が運動主体感が高いことが分かっています。

下頭頂小葉には「行動の流暢性をモニタリングする機能」があり、自己の行動をコントロールできたか、主体的な運動主体感に関わることが明らかになっています。

つまり、運動主体感には自己の身体の操作性物体の操作性などが関わっているということを示しています。

運動主体感の階層性

運動主体感は知覚・認知的側面だけでなく、情動レベルの影響を受けており、下図のような文脈の影響を受けたり、言語や他社との関係(メタ表象)によっても影響されます。

詳しくは下記記事を参考にして下さい。