【リハに役立つ!!】組織損傷の治癒過程まとめ

【医療者向け】基礎

主に結合組織で構成された組織(靭帯・腱など)が損傷すると残った細胞が増殖し、損傷された組織を元に戻そうとする機転が惹起されます。

治癒過程は大きく3期に分けられます。(1.炎症期、2.増殖期、3.成熟期)

炎症期・増殖期・それぞれが独立した期間で修復していくのではなく、炎症期から始まり、炎症期が終わりきる前に修復期・成熟期が始まるので時期によってはそれぞれが平行しながら治癒が進みます。

しかし、筋損傷の場合は損傷した筋線維が再生することが知られており、治癒過程のメカニズムが少し異なります。

創傷

創傷治癒過程は先ほどお伝えした3期に分かれます。

創傷治癒はタイミングによって様々な細胞やサイトカイン、酵素などが出てきたり、消失したりする反応がみられます。

 

炎症期

組織が損傷すると血管の収縮・拡張・透過性亢進といった様々な反応が起こりその中でも血管反応は大きく5つの過程に分かれると言われています。

①血管の拡張に伴う血流量の増加・収縮に伴う血流量低下
②血管透過性亢進とれる滲出液の形成
③細胞成分の血管外への遊走と三宝製滲出物の形成
④白血球による貪食
⑤炎症の終焉

 

1血管拡張に伴う血流量の増加・収縮に伴う血流量の低下

組織損傷・血管損傷が生じると出血が生じるため、止血のための反応として損傷した血管周囲の細動脈が一過性に収縮し、血小板が凝集して凝血塊ををつくることで止血します。

細動脈の一過性の収縮は通常なら、数秒から数分間持続します。

細動脈の収縮後に拡張が起こり、血管拡張は数十分~数時間持続します。

その結果、血流量が増加し発熱や熱感といった炎症の徴候が現れます。

また血管拡張に伴い細動脈・毛細血管・細静脈の血圧は高くなります。

血管収縮は血小板から分泌される5-THや血管内皮細胞から分泌されるエンドセリンなどの作用によって生じます。
血管拡張はブラジキニンとブラジキニンが肥満細胞を刺激することで生じるヒスタミンによって生じます。

 

2血管透過性の亢進と浸出液の形成

微小血管の内側は血管内皮細胞に覆われており、水や水溶性物質・酵素・二酸化炭素は通過出来ますが、通常なら免疫グロブリン・フィブリノーゲンなどといった血漿タンパク質や細胞は通過出来ません。

しかし、炎症が生じるとブラジキニンやヒスタミン・マクロファージ・線維芽細胞などから分泌される炎症性サイトカインの働きにより血管内皮細胞が収縮し、血管透過性が亢進するようになります。

そのため、タンパク質を含んだ血漿成分が滲出し、肉眼的にも腫脹が確認できるようになります。

 

3細胞成分の血管外への遊走と細胞性浸出液の形成

血管透過性が亢進すると血管内の体液成分が減少し、血液粘性が増加するため血流速度は低下します。

血流速度が低下することにより、血管の中心部に流れている細胞成分が血管内壁側に集まる現象が生じます。

血管内壁に集まった白血球は血管内皮細胞に付着し、形態を扁平化させ血管内皮細胞の間隙を通り抜けるようになります。

このように白血球が血管外へ浸潤することで白血球は炎症が生じている組織損傷部位に遊走します。

 

4白血球による貪食

組織損傷部位に白血球が遊走されると、まず好中球が侵入した細菌や細胞の残骸を除去します。(貪食作用)

※貪食作用:細菌や細胞の残骸を好中球内に取り込んで、好中球内のタンパク質分解酵素や活性酵素によって分解・死滅させる

次にマクロファージが損傷部に集まり、アポトーシスを起こした好中球や組織の残骸・細菌を貪食します。

またマクロファージと一緒に線維芽細胞が損傷・変性したコラーゲン線維んあどの細胞外基質を分解し、好中球やマクロファージといった細胞を移動させやすくします。

5炎症の終焉

壊死した細胞の除去が終了すると、炎症に関わる化学伝達物質が中和されていきます。

血管拡張・血管透過性亢進により損傷部位の血流量増加がみられていましたが、血流も正常に戻り、滲出した血漿成分はリンパ管を通って回収されていきます。

マクロファージは不要になった炎症細胞を貪食し、自らアポトーシスをするか、血漿とともにリンパ管を通ってその場を去ります。

このように炎症は終焉を迎え、組織損傷の場合は大体受傷後7~10日でみられます。

炎症の終焉により組織の修復が始まりますが、この修復はマクロファージなどから分泌されるサイトカインがそのきっかけを作る役割を担っています。

しかし、自己免疫異常のような慢性炎症の場合は組織修復ち同時に新たな炎症が始まるため、はっきりとした炎症の終焉がありません。そのため、治療に難渋することが多くなります。

 

炎症期の組織学的変化は増殖期以降の組織回復を活性化するための役割も果たしており、血小板やマクロファージから分泌される血小板由来成長因子・マクロファージから分泌されるTGF-βや血管内皮細胞増殖因子などは増殖期の組織学的変化である肉芽組織形成と血管新生に不可欠なサイトカインです。

増殖期

創傷を受傷して約3~2週間の時期は増殖期と呼ばれ、未熟ながらも組織の連続性が修復されます。

具体的な過程を以下のまとめていきます。

 

上皮化

創傷によって欠損した表皮は上皮化と呼ばれる独自の再生が起こり、受傷後数分以内に始まります。

創部周辺の表皮基底層から次々にケラチノサイトが供給され、扁平化しつつシート上に結合していき表皮の欠損部分を埋めていきます。

また基底層のケラチノサイト・ケラチノサイト前駆細胞などがタイプⅣコラーゲンを合成し、基底膜を形成すると表皮の再生が完了します。

ただし、以上のような上皮化は創部周辺2~3㎝の範囲を覆うことしか出来ないとされています。

 

肉芽組織形成

血小板から分泌される血小板由来成長因子はマクロファージを刺激し、刺激されたマクロファージからも血小板由来成長因子が分泌し、線維芽細胞を刺激します。

活性化した線維芽細胞が創部に集積・侵入していきます。

血小板・マクロファージ・線維芽細胞からTGF- βが分泌されることで線維芽細胞が徐々に増殖を引き起こし、線維芽細胞における細胞外基質の合成を促すことで創部は細胞外基質で埋め尽くされるようになります。(肉芽組織形成)

 

血管新生

新しく形成された肉芽組織に酸素・栄養素を供給するため、血管新生と呼ばれる反応が生じます。

血管新生において血管内皮細胞が中心的な役割を果たします。

マクロファージ・線維芽細胞から分泌される血管内皮細胞増殖因子や線維芽細胞成長因子などによって刺激を受け、分裂・増殖し創部に集積してきます。

そのため、創部には毛細血管が新生し、毛細血管ネットワークがつくられていきます。

しかし、血管新生の乏しい肉芽組織は創傷治癒が遅延・障害されることで難治性になるとわれています。

成熟期

創傷を受傷して約5日以降は成熟期に入ります。しかし、創傷が重症な場合はこの成熟期が月単位・年単位に及ぶことがあります。

成熟期は主に創収縮とコラーゲンのリモデリングに分けられます。

 

創収縮

増殖期で肉芽組織が形成された後は創収縮が起こります。

創収縮によって創全体が閉鎖し、傷口が小さくなってきます。

創収縮のメカニズムは線維芽細胞が分化した筋線維芽細胞が創の収縮の原動力となっていると考えられていますが、詳細は分かっていません。

 

コラーゲンのリモデリング

線維芽細胞におけるコラーゲン合成は増殖期から数週間持続しますが、これはTGF-βが制御しており創部はコラーゲンが凝集します。

しかし、コラーゲンは分解もされており、MMPsと呼ばれるタンパク質分解酵素で制御しています。

つまり、コラーゲンのリモデリングは合成(TGF-βで制御)・分解(MMPsで制御)のバランスによって成り立っています。

最終的に肉芽組織は密なコラーゲン線維・エラスチン線維・少数の線維芽細胞が存在する瘢痕組織となります。

その後

創部数カ月かけてコラーゲンの合成・分解を繰り返し、成熟した瘢痕組織へと変わっていきます。

コラーゲンは初期に形成されたタイプⅢコラーゲンはタイプⅠコラーゲンへと置き換わり、コラーゲンも太くなります。

加えてコラーゲン線維束も形成され、その配列は網目状となるため抗張力が増加し柔軟性に乏しくなります。

皮膚では治癒していても強さは80%程度であり、弾性力も乏しく、皮膚付属器官も欠いているので機能としては十分なものとは言えません…

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。