【理学療法士が伝える】全人工股関節置換術後(THA)の画像の見方

【医療者向け】画像

病院で勤務していると全人工股関節置換術(THA)施行後の患者を多くみかけます。

THAは周知の通り、変形性股関節症の方が手術療法で治療を行う手段です。

THAでは変形性股関節症と同様に画像で見るべき点が多数あります。

ここではTHA術後の画像の見るべき点をお伝えしていきます。

まずは術前状態の確認

TAHの画像をみる前にまずは、術前の状態を確認すべきです。

変形性股関節症の状態を見ることは、元々の生活方法や術後の状態を予測することに役立ちます。

●骨嚢胞を臼蓋側に認める場合は、術後の荷重が困難になる可能性があります。

※骨嚢胞:関節液が骨に染み出し、骨が溶解している状態

骨嚢胞が認める場合は、臼蓋側の固定が弱いためTHAを施行する際は、スクリューを使用することが望ましいとされていますが、もし骨嚢胞を認めいるのにスクリュー固定をされていない場合は荷重する際に注意が必要です。

 

関節裂隙の狭小化・大腿骨頭の扁平化を認める場合、患側下肢に運動時痛・荷重時痛を認めてた可能性があるということ、下肢長の左右差を認めていたということを示唆します。

運動時痛・荷重時痛を認めてたということは、患側下肢の使用を避けていた可能性があり、下肢長の左右差を加えると両下肢の筋活動がアンバランスであった可能性があります。

筋活動のアンバランスが特定の筋に過剰に負荷を加えて、筋膜性疼痛を誘発している可能性があります。

術部周辺に疼痛が生じることは当たり前ですが、手術による炎症性疼痛に視野を狭めるのではなく、画像から筋活動のアンバランスから生じる筋膜性疼痛が生じているのか評価することが大切です。

 

●骨盤腔・閉鎖孔の見え方、広さを見ることで骨盤が前傾位なのか後傾位なのかを評価することが出来ます。

・骨盤腔が広く円状に見え、閉鎖孔が広く狭く見える時は骨盤が前傾位であることを示します。

・骨盤腔が狭く楕円状に見え、閉鎖孔が広く見える場合は骨盤が後傾位であることを示します。

骨盤のアライメント不良は腰椎のアライメント不良にもつながり、腰痛症が生じたり、骨盤周囲軟部組織の伸張・短縮のバランス不良が生じている可能性があるということです。

骨盤前傾位であれば、股関節前面筋の短縮・股関節後面筋の過度な伸張というように軟部組織の状態を予測することが出来ます。

 

●関節裂隙の狭小化や大腿骨頭の扁平化を認める場合、脚長差を認める場合があることはお伝えしましたが、脚長差により腰椎の側弯が生じてる可能性があります。

腰椎の側弯により体幹機能のアンバランス・低下や腰痛症が生じている可能性があるので注意が必要です。

 

●患側下肢に荷重を避けた生活をしていた場合、患側の大腿骨皮質骨が薄く写っていることがあります。

これは患側下肢の荷重を避けていたことから患側大腿骨の骨萎縮を表しています。

骨萎縮により術後の患側下肢の荷重が難しくなったり、術後のステムが沈み込むリスクが高くなるので荷重をかけるリハビリを行う際には注意が必要です。

 

●大腿骨の変位を認めていると筋活動や荷重がアンバランスであったことを示唆しますので、評価することが大切です。

THA術後のみるべき点

THA術後の特徴的なリスクは脱臼です。

THA術後急性期は、手術により特に軟部組織が脆弱している状態なのでリスク管理が大切です。

骨盤腔や閉鎖孔の見え方により骨盤の前後傾のアライメント評価が出来ることはお伝えしましたが、手術の際の侵入が前方なのか・側方なのか・後方なのかを確認し、股関節が屈曲位or伸展位どちらが優位なのか、中間位なのか評価し組み合わせてリスクを評価することが大切です!

例えば、後方侵入のアプローチで、骨盤が後傾位である場合は後方脱臼のリスクが非常に高いことを示します。

矢状面の股関節アライメント評価に加えて、小転子をみることで撮影時の股関節が外旋or内旋優位なのか、中間位なのか評価することが出来ます。

前方侵入であれば、股関節の外旋位が脱臼リスクを高め、後方侵入であれば内旋位が脱臼リスクを高めます。

また、上図では左右下肢の大転子~小転子間の距離(縦)が異なる為、脚長差が出現している可能性があります。

術側の関節窩と骨盤腔の距離が近く坐骨を結んだ平行線と骨頭の距離が長い場合、術部が上方に変位している可能性があり、下肢運動の際に転子部と骨盤でインピンジメントが生じる可能性があります。

ステムと皮質骨の髄腔で空間がみられる、ステムと皮質骨の間に隙間がある場合、荷重によりステムが沈み込む可能性がある為、注意が必要です。

リハビリで荷重訓練を行うことで脚長差が生じた場合はステムの沈み込みを一度疑うべきです。

THA術後のみるべき点:実際の症例

症例1

上記の図は左下肢の関節窩と骨盤腔との距離が近く、骨盤の水平線と骨頭との距離が長いです。

つまり、左下肢の転子部と骨盤の間でインピンジメントが生じる可能性があります。

症例2

上記の図は臼蓋側に骨嚢胞を認めている為、THA施行時にスクリュー固定をしている症例です。

今回はスクリュー固定をしていますが骨嚢胞を認め、スクリュー固定をしていない場合は、荷重をかける際に注意が必要です。

症例3

上図はステムと皮質骨の間位に隙間があり、荷重によりステムが大腿骨側に沈み込んでいる症例です。

ステムの沈み込みにより脚長差が生じる可能性があります。

参考書籍

今回は下の書籍を参考に変形性膝関節症の見方をお伝えしました。

変形性関節症だけでなく、人工関節や骨折などの運動器全体の画像の見方を丁寧に書いてあります。

運動器の画像の見方が分からない新人理学療法士には特に一度読んで欲しい書籍です。

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ここまで読んで頂きありがとうございました。