【リハに役立つ】階段昇降時の運動学:筋肉の活動に着目して

【医療者向け】階段

理学療法士として歩行は層別で筋肉の活動を把握している方が多いと思いますが、階段昇降はどうでしょうか?

意外と階段昇降を層別で筋活動を把握している方は少ないのではないでしょうか?

ここでは階段昇降時の筋活動を層別でお伝えしていきます。

階段昇降:昇段

階段昇段は大きく分けて3つの層に分かれます。

1.体重受容~引き上げ(weight acceptance~Pul-up) 

2.前方移動(Forward continuiance)

3.遊脚相(Foot clearance・Foot placement)

それぞれ3つの層に分けて筋活動をお伝えしていきます。

 

昇段:体重受容~引き上げ

階段昇段時の体重受容では大殿筋・大内転筋・中殿筋が力強く股関節を安定させます。

膝関節では大腿四頭筋の活動がピークに達し、ハムストリングスの低レベルの活性方が股関節伸展を補助し、脛骨の前方引き出しを防止します。

足関節では体重が下肢にかかるとき、ヒラメ筋が前進を制御します。

【関節別筋活動まとめ】
股関節:大殿筋・大内転筋・中殿筋・ハムストリングス
膝関節:大腿四頭筋・ハムストリングス
足関節:ヒラメ筋

昇段:前方移動

前方移動期は単下肢支持期であり関節が伸展するにつれて、股関節と膝関節の単関節伸筋の活動は減少します。

半膜様筋大腿二頭筋長頭が活動を高め、股関節および膝関節を制御します。

足関節ではヒラメ筋内側腓腹筋は活動性が増します。

【まとめ】
単関節筋の筋活動が減少
半膜様筋・大腿二頭筋の筋活動が高まり、股関節・膝関節を制御。
ヒラメ筋・内側腓腹筋の活動性増大

 

昇段:遊脚相

遊脚下肢の前進の前半(上図)後方下肢の底屈筋が活動性を増大させ体重の前方下肢に移すことを助けます。

大腿二頭筋短頭の筋活動が増大し膝関節の屈曲を促通します。

足部が床から持ち上がるにつれて、大腿二頭筋短頭活動性増大による膝関節と、前脛骨筋の活動性増大による足関節背屈が下肢を屈曲させ足部が引っ掛からないようにします。

 

遊脚下肢の前進の後半(上図)では内外側広筋股関節の単関節伸筋が活動を高め、下肢に荷重の受け継ぎに必要な準備をさせます。

【まとめ】
底屈筋の活動で前方に移動する
大腿二頭筋短頭・前脛骨筋で下肢を屈曲させる
遊脚期後半では股関節の単関節伸筋が活動させ立脚期の準備をする

階段昇降:降段

下記が降段時の3つの層です。

1.体重受容(weight acceptance) 

2.前方移動~制御降下(Forward continuiance~Controlled lowring)

3.遊脚相(Leg pull through・Foot placement)

降段:体重受容

内側腓腹筋前脛骨筋が同時収縮をして底屈位の足関節を安定させます。

膝関節伸筋(内外側広筋・大腿直筋)の中等度の活動とハムストリングスの同時収縮は膝関節を安定させ、衝撃吸収を補助します。

股関節は大殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋により安定させます。

【まとめ】
股関節:大殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋
膝関節:内外側広筋・大腿直筋
足関節:内側腓腹筋・前脛骨筋

降段:前方移動~制御降下

単下肢支持期前半での前脛骨筋とヒラメ筋の同時収縮は、体重の前進のために安定した基盤を提供します。

内外側広筋と大腿直筋の中等度の活動は膝関節を安定させます。

 

降段:遊脚相

遊脚期の前半(上図)に前脛骨筋大腿二頭筋短頭が活発に活動し、遊脚期での足部のクリアランスを確保します。

 

遊脚終期(上図)にハムストリングスが活動を高め、次の段に足部を設置させる補助をします。

内側腓腹筋・前脛骨筋・内外側広筋・大腿直筋・大殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋の活動により荷重時の準備を行います。

まとめ

立脚期には大殿筋・中殿筋・大腿筋膜張筋などの股関節外転・伸展筋が活発に働き、昇段・降段時の遊脚終期から荷重に備えて活動が高くなります。

重心の上昇・降下を行う際には内外側広筋・大腿直筋、ハムストリングスの活動を高めることで安定させます。

昇段・降段に限らず、遊脚期には大腿二頭筋短頭・前脛骨筋の活動を高め下肢を屈曲させクリアランスを確保します。

前方移動を制御するのは足関節周囲筋でありヒラメ筋や前脛骨筋が役割を果たします。

 

歩行の動作観察に強いPTですが、階段昇降の動作観察・分析を行っているPTはどれだけの割合いるでしょうか?

今回の内容が階段昇降のアセスメント・治療プログラムの参考になればと思います。

 

ここまで読んで頂きありがとうございました。