【リハに役立つ!】靭帯の変化に由来する拘縮

【医療者向け】ストレッチ

拘縮の病態は主に骨格筋だと言われていますが、実際に骨格筋以外に靭帯などの軟部組織の器質的変化により拘縮が生じていることは決して無視できません。

ここでは靭帯の器質的変化に由来する拘縮についてお伝えしていきます。

靭帯の構造

靭帯は骨同士を連結することで、関節の安定性を高めると同時に運動方向の制御を担っています。

靭帯の構成する組織は、水が約65%・コラーゲン線維が約25%となっており、ほとんどが水とコラーゲン線維でできています。

コラーゲン線維の中でもタイプⅠコラーゲンが約90%であり、タイプⅢコラーゲンが約10%となっており、靭帯の張力に対する抵抗力が強いことが分かります。

他にエラスチンやプロテオグリカンなどがわずかに含まれており、黄色靭帯などの伸張性が求められる靭帯はエラスチン線維の割合が高くなっています。

筋膜を構成するコラーゲン線維は、普段は織物のように網目状の配列となっており、伸張されるとその伸長方向に対して平行するように配列を変化させることで可動性を生みだしています。

しかし、靭帯を構成するコラーゲン線維は密な構成となっており多くのコラーゲン線維は長軸方向に対して平行するように走行しています。

そのため、伸張刺激に対して強力な抵抗性を示し、筋膜と比較して伸張性はかなり乏しくなります。

また、伸張に対する抵抗性はコラーゲン線維の配列だけでなく、架橋の影響も受けます。

特に加齢に応じて生じる老化架橋は、コラーゲン分子の末端だけでなくランダムに生じるため、特に架橋による組織伸長性の低下の原因となります。

コラーゲン線維が伸張に対して強い抵抗性を示す一方で、靭帯を構成するプロテオグリカンは水分を吸着してコラーゲン線維間の空間を保持する役割を持っており、コラーゲン線維同士の摩擦を減らし可動性を生み出しやすくする役割を持っていると考えられています。

靭帯の伸張性

靭帯の伸張性を観る方法として、骨ー靭帯ー骨複合体の引っ張り試験が行われています。

引っ張り試験の結果は以下の2つで表されます。

・力ー変位曲線

・応力ー歪み曲線

 

力ー変位曲線

※線形剛性:線形領域の傾きのことであり、靭帯の伸びと負荷を示す。線形剛性が高いと負荷に対して伸びにくいということであり、力学的な強度が高いということ。

※最大破断力:最も大きな損傷が生じる際の負荷のこと。大きいほど力学的強度が高いことを示す。

※破断時変位:靭帯が完全に破断した際の伸びのこと。大きいほど靭帯が強く引っ張られても損傷しにくいということ

 

応力ー歪み曲線

※弾性係数:応力ー歪み曲線の傾きのことであり、大きいほど靭帯に歪みが生じにくく、力学的強度が高いことを示す。

※引っ張り強度:最大の応力を示すポイントであり、大きいほど力学的強度が高い。

※破断歪み:破断までに生じた靭帯の歪みのこと。大きいほど破断せずに柔軟に変形できる限界が高いということ。

 

靭帯はコラーゲン線維が破断する直前まで伸張しても、本来の長さの約10~20%しか伸びません。黄色靭帯のようなエラスチンを多く含む靭帯では破断歪みが大きく、他の靭帯よりも伸張性の富んでいるということです。

靭帯は伸長されても全体が一様に伸張されるわけではなく、靭帯の各部位によって伸び具合が異なるとされています。

これはコラーゲン線維の配列状態や密度が異なることで生じているとされています。

ラットの膝を屈曲位で3週間固定したすると、ACLに拘縮が生じたと報告されており、固定により靭帯の横断面積の変化・生体力学的特性の変化・コラーゲン代謝の変化・コラーゲン線維の配列変化などにより生じると思われます。

わずか3週間の固定期間でも靭帯に拘縮が存在するということは、一カ月以内の不動で生じる拘縮は骨格筋だけでなく靭帯も視野に入れて治療方法を考察していく必要がありそうです。

ここまで読んて頂きありがとうございました。