【住宅環境コーディネーター2級を目指す人向け】排泄行為

トイレへの移乗

高齢者は一般にトイレの使用頻度が高いため、寝室とトイレの距離をできるだけ短くして移動しやすくします。

トイレと寝室を隣接させたり、寝室から直接トイレに行ける間取りにすることが大切になってきます。

 

扉の開閉

トイレの出入り口の戸

開き戸では、必ず外開きになります。

開き戸では、開ける際に身体が邪魔になるので引き戸にすると開閉動作が容易になります。

 

戸の有効幅員

通常は600mm程度ですが、800~850mm程度としたものもあります。

 

トイレスペース

歩行が自立している例

歩行可能で排泄行為が自立している場合は間口750mm×1200mm(壁芯-芯距離で間口910mm×1365mm)程度の通常のトイレスペースでも使用できます。

奥行きの有効幅員が1650mm程度であればゆったりと立ち座り動作が行えます

将来の介助スペースを考慮しておく時はトイレ内に洗面カウンターを設けておき、必要なときに取り外して使用する方法もあります。

介助が必要な場合

便器側方や前方に500mm以上の介助スペースを確保(その際にスペースは間口1350mm×奥行き1350mmとなります。<木造住宅の場合>)
トイレの間口を広く確保した場合、便器は中央に置かずどちらか一方に寄せて設置

左右どちらか介助を行えば適切なのか、対象者と介助者で相談することが大切です。

 

自走用車椅子の場合

自走用車椅子で自立して便器へアプローチする場合は、車椅子のアプローチ方法および移乗動作に適した便器配置出入り口の位置・必要なトイレスペースを確保します。

側方アプローチ

便器の側方または斜め前方から、車椅子を便器に近づけます。

標準的なスペースは間口1650mm×1650mm(壁芯-芯距1820mm×1820mm)の広さです。

いずれのアプローチでも出入り口から車椅子を直進させて便器と直角に近い配置になるように、あらかじめ出入り口位置と便器配置を考慮すると、狭いトイレスペースでもアプローチは可能です。

図:側方アプローチ

 

図:斜め前方アプローチ

 

前方アプローチ

便器の正面からアプローチするときは便器の前方に一般的な自走車椅子の全長1100mmのスペースが必要です。

この場合、トイレの奥行きは最低でも1800mm必要となります。

図:前方アプローチ

横方向アプローチ

便器と平行に車椅子を近づけて移乗する場合は便器の側方に車椅子スペースとして800mm程度保つ必要があります。

介助用車椅子の場合

車椅子スペースの他に介助スペース(便器前方・側方に500mm以上)が必要なため、間口1650mm×奥行き1650mm(壁芯-芯で1820mm×1820mm)を確保することが望ましいとされています。

※便器正面からのアプローチでは便器側方に幅を拡張します。

もし広いスペースを確保できない場合は、車椅子から便器に移乗させた後で、介助者が車椅子を移動させ排泄後に車椅子を改めてセットします。

立ち座り動作

手すりの取り付け

便器での立ち座りに用いる手すりには以下のような手すりがあります。

1.立ち座り用の縦手すり
2.座位保持用の横手すり
3.これらの機能を合わせたL字手すり

標準的な取り付け位置を参考に対象者に合わせて位置を調整します。

立ち上がりが困難になることが多いので、立ち座りの際には出来るだけ利き手側非麻痺側側に手すりを取り付けるようにします。

1.立ち座り用の縦手すり

位置:便器の先端より200~300mm程度の前方
長さ上端肩の高さより100mm上方 下端横手すりの高さ (長さは800mm程度)
※縦手すりは身体機能低下につれて便器から離れて、さらに低い位置に設置する方が使いやすくなります。

2.座位保持用の横手すり

位置便器中心線から左右に350mm(左右対称)
高さ車椅子のアームサポートと同じ、又は便座面から220~250mm程度上方
※壁側と反対側の手すりは可動式手すりが望ましいとされています。可動方向:垂直方向にはね上げる or 壁側を軸として水平方向に動く

 

姿勢保持のための便器

排泄動作には便器上での座位保持の保持が必要です。
保持出来ないと姿勢が崩れて臀部がずれたりすることで、側方に転倒したり便や尿で便器周りを汚してしまうことがあります。

歩行可能な場合

踵が床面に届かないと姿勢が不安定になってしまうので、便座の高さは座位姿勢で床面に踵がつく程度で調節します。
※通常の便座の高さは370~380mm程度

車椅子使用の場合

立ち上がらずに車椅子から便器に移乗する場合:【便座の高さ】=【車椅子の座面
一度立ち上がり移乗する場合:歩行可能な場合の上記便座の高さと同様にする
※車椅子使用の場合は車椅子で十分に近づけるように便器前方下部にくびれやスペースのある形状の便器を採用します。臀部の感覚麻痺・疼痛を伴う場合:褥瘡予防の柔らかく弾力のある便座をかぶせます。

関節リウマチ・骨折などの場合

下肢の骨折などにより股関節に関節可動域制限が生じ、下肢骨折に痛みが伴う場合は下肢を屈曲させにくいので便座の座面を高くします。
または便座下方に建築工事で台を作りかさ上げをすることで座面を高くすることも出来ます。(下図)

その他

床仕上げ

汚れたときに掃除しやすい材質・滑りにくい材質を選びます。
タイル・シート状の塩化ビニル系の床・リノリウム床は水分があると滑ることがあるので注意します。

照明・色彩の工夫

高齢者は夜間に暗い寝室から突然明るいトイレに入ると、まぶしさを感じます。
JISではトイレの照度を75ルクスにし、明かり付きスイッチ又は感知式の明かりを採用します。

換気設備

トイレ内に窓があっても換気は必要です。
便器内で発生してしまう臭いは、床面に近い壁面に換気口を設置して屋外に排出します。
特に寝室に隣接したトイレでは、換気機能や消臭機能の付いた便器を用いることも考えておきます。

暖房設備

高齢者は急激な温度変化による虚血性心疾患脳卒中などにみまわれることがあるので、特に冬季はトイレの暖房が必要です。
部屋全体を暖める暖房と足もと付近にパネルヒーターのような輻射暖房を設置し、普段から全体を温かくしておくと予防に繋がります。